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2008年05月14日 11:16
ミスト
夜霧よ今夜も有難う。
これまで残念な結果に終わることの多かったスティーヴン・キング原作の映画化の中で、これは大健闘の部類ではないでしょうか。
映画化成功のサンプル「ショーシャンク」「グリーンマイル」を監督したフランク・ダラボンが手がけているからとはいえ、先の二つは感動路線の原作、今回はホラー・パニック系の原作しかも制作費は低予算と、状況はちょっと違う。そして仕上がったのは、さほど怖くはないけれどズシリと重い、充実した人間ドラマの佳作でした。
映画開始、霧が漂う時点で最高の緊張感に高まる期待。しかしけっこう早めの段階で最初のクリーチャーが登場すると、これが低予算を見せつけられるようなクオリティで、「この道はまた来た道、やっぱりダメか」とガッカリ感が漂います。
でも、実はここからがこの映画の真価で、スーパーマーケットの中だけを舞台に、そこに閉じ込められた人々の葛藤や対立のドラマを、霧の外の状況を肴にして描いていきます。しかもそのドラマの主題は「宗教と社会」。ホラー映画の裏に人間ドラマとは、定番の組み合わせとはいえ、ここに個性が出る作品はなかなかありません。群衆の心理変遷の大きな渦の中に自分もグイグイ引き込まれました。
そしてこの「ミスト」の日本での宣伝のキャッチコピー「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」となるわけですが、どうせよくあるドンデン返しとか唐突なエンディングとかだろうと高をくくってたらば、確かにこれは震撼とよぶにふさわしいものでした。普段映画館でリアクションを取るほうではない自分も、このシーンの間は「えー」と「あー」の中間の口の形のまま、前のめりになって打ち震えました。
このラストはダラボンが唯一原作を改変した部分なんだとかで、キングにそのことを伝えると了承の上に大賛成、自分がこの結末を思い浮かばなかったことを悔しがったというエピソードも。口うるさいスポンサー抜きの低予算だからこその、この結末。インディージョーンズ新作の脚本に口をだされまくった挙句、結局ボツにされて激怒した話(→記事)もあわせて、ダラボンの不屈のクリエイター魂を見ました。
Review : 2008年05月14日 11:16
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