2008年08月21日 19:05

Julian Copeが語る日本ロック史「JAPROCKSAMPLER」

Amazonのレビューによると「奇書」。

■ 日本ロックの研究本も話題!ジュリアン・コープがニュー・アルバムをリリース(CDJournal)

先ごろ日本でも発売された、日本のロック黎明期の研究本『JAPROCKSAMPLER ジャップ・ロック・サンプラー -戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか』(白夜書房/写真)が話題を呼んでいる、英国の鬼才ミュージシャン、ジュリアン・コープ。

そんな本が出てることは知りませんでした。なんでまたジュリアン・コープが日本ロックの研究本?ひょっとするとこれが世界初の英語で書かれた日本ロック研究本なのかも。

■ ロック版『ロバート・ホワイティング』奇書!(Amazon:カスタマーレビュー)

既に的確なレヴューがあるので、簡潔に書きますが、まさに奇書です。これこそねじ曲げられた日本のロックシーン。作品の評価は個人的なものなので、外国人の偏見はあるものの、違和感はありませんが、ミュージシャンのバイオなど、抱腹絶倒もの(ネタバレするのでここには書きません)。筒井康隆の『色眼鏡のラプソディ』、小林信彦の『ちはやぶる奥の細道』『すばらしき日本野球』のよう! パロディ小説、いや不条理小説のような感触であります。そこまで言わなくとも、曲解ノンフィクション『東京アンダーワールド』『菊とバット』のロバート・ホワイティングと例えてもいい。もちろん否定的に捉えているのではありません。(中略)悪いことは言いません。絶対に読むべし。買えとまではいいませんので、立ち読みでもいいです。

メチャクチャ読みたい気分にさせてくれる凄くいいレビュー。他にもいいレビューがあります。

■ 日本人が書けなかった労作(Amazon:カスタマーレビュー)

音楽性についての評価にも日本の音楽誌のような遠慮がなく、良し悪しの基準がはっきりしています。例えば村八分に対しては終始(極めて)否定的なトーンですし、一方で外道については、彼が当初村八分に期待していたサウンドを持っていたと持ち上げています。あえて名前を挙げませんが、コレクターマーケットで高値がつくいくつかのミュージシャンのアルバムを「クズ」とこき下ろしてもいます。ただ、スタンスが明快なことから、読み手が著者との音楽的嗜好の距離感を測りやすく、否定的な評価があっても不愉快な感じは受けません。むしろ痛快に感じる部分が多いです。

事実誤認のあるディスクガイド本や音楽研究本は、Amazonのレビュー欄で公開処刑のような目にあってることが多くて、読んでいると気の毒な気分になったりしますが、(今のところ)この本にはいいレビューばかりついていて、なんとも幸せな本です。翻訳時につけられたという多くの注釈が機能しているのでしょう。

ジャーマンロックやプログレへの興味が日本のフラワー・トラヴェリン・バンドに巡りついたようで、それをきっかけに日本ロックにのめりこんだとか。

ということから、1960~1970年代のサイケロックやグループサウンズが中心となった本のようで、あまりこの辺の予備知識が無い自分にはちょっと厳しいかも。でもちょっと本屋で探してみます。

本と連動したしっかりしたサイトが作られています。

■ Julian Cope presents JAPROCKSAMPLER.COM

When I wrote JAPROCKSAMPLER, so little had been published in English on the subject that I was forced to create first my own miniature encyclopedia of information, gradually building up the picture from millions of tiny bits of information. Of course, when the book was finished, I was left with such a colossal repository of information that I have decided to bequeath it to all fans of Japanese rock across the world in the form of these 'Artist A-Z' and 'Group Sounds A-Z' sections. Hopefully, by employing these biographies as the bedrock, japrocksampler.com will eventually become an essential resource for all future Japanese music research.

アーティストリストが詳細な解説とともに公開されています。サイトに登録するとコメントなどを投稿できるみたい。このサイトを日本ロック研究のデータベースに育て上げるのが目標だそうです。

ミュージシャンとしてのジュリアン・コープについては、「ロック名盤」とかのディスクガイド本とかを読むと、毎回この人の作品のレビューには自分が好きになりそうな要素の言葉が満載で、これは最高なのでは!とAmazon等でひとしきり試聴するのですが、どうもピンとこない、ということをここ数年繰り返していて、結局アルバムなど一つもちゃんと聴けてません。

News : 2008年08月21日 19:05

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