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2008年10月13日 11:31
落下の王国
世界遺産を駆け巡る作り話。
「ザ・セル」の映像美で評価の高かったPV/CM畑出身のインド人監督ターセムの新作。
数多くの世界遺産でロケーション撮影が行われたことで話題となったこの映画。世界遺産の映像美と「シルク・ド・ソレイユ」や北京オリンピックで衣装を担当している石岡瑛子のデザインする衣装をでっかいスクリーンで楽しむか、くらいの軽いスタンスで見に行きました。
CGを見慣れた目にもハっとする世界遺産の映像の圧倒的なスケールのデカさ、どこかの民族衣装のようでそうでない創造性溢れる色彩豊かな衣装の美しさ、そこまではある程度は予想どおりで期待どおりでした。しかしそれだけの映画ではなく、それらの美を「アラビアンナイト」などの古典のような荒唐無稽なストーリーがうまくつなぎあわせいて、ぶちょっとした主役の少女の自然な演技もとても素晴らしく、久々に映画らしい映画をみたという満足感が残りました。
舞台は1915年のアメリカの病院、スタントに失敗して自暴自棄のスタントマンと農園のオレンジの木から落ちて骨折した少女。少女を操るために創作童話を語るスタントマン。「虚構と現実が交錯する映像美の映画」というところから想像出来るような支離滅裂の小難しいストーリーではなく、予告編を見ればだいたいわかるレベルのシンプルなストーリー。一方は5歳の少女が楽しめるような大味な冒険譚、もう一方は「落下」して入院した二人の触れ合い、その2つが絡み合って微笑みと感動をもたらす、という売り文句そのまんまのわかりやすい内容で、おまけに絵画を見るように美しい映像ときたもんです。
トガった映画を作りたいと映画を志す人なら誰しもが嫉妬して、ついついクサした一言を言いたくなるような、そんな理想的な「自主制作映画」ではないでしょうか(資金を出したのはデビッド・フィンチャーとスパイク・ジョーンズ)。無声映画時代のスタントマンの苦悩をテーマに扱って、そこに賛辞を贈るというのも映画人を唸らせるでしょう。
公開が終わる前に、大きなスクリーンでどうぞ。
Review : 2008年10月13日 11:31
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