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2008年11月26日 12:46
1408号室
1+4+0+8=13。
心霊スポット探訪のルポ本で食いつなぐ作家マイク・エンズリンが、数十人が謎の死を遂げたというニューヨークの高級ホテルの一室「1408号室」で過ごした恐怖の一夜、という話。
8割くらいはジョン・キューザックの密室一人芝居です。ジョン・キューザックはこういう不思議系作品でキラリと輝きます。アメリカでは結構ヒットしたようで、同じキング原作の同時期の映画作品「ミスト」と制作費は同程度(2000万ドル前後)ながら、興行収入は「ミスト」2500万ドル、「1408号室」は1億3000万ドル、と圧倒的な差がついています。
この差は、娯楽に徹したサービス精神の差でしょう。「1408号室」は原作を枠組みだけ利用して、原作には無かった主人公の家族のストーリーを盛り込むことで短編の原作に強固な背骨を与え、フラッシュバックされる部屋の犠牲者の幽霊など、ハリウッドの娯楽ホラーお得意の「お化け屋敷」っぽさでちゃんと数分に一度は脅かして怖がらせます。重すぎず軽すぎず、エログロ全く無し、とてもスッキリ怖がれるホラー映画です。
娯楽B級ホラーなのかといえば、部屋が主人公の心を弄ぶような演出で現実と非現実を交錯させて、単館公開のインディペンデント映画のような観念的なところに踏み込みます。原作に忠実に映像化するとこっちの要素がかなり強くなると思うのですが、そこはキッチリ枠組みにいれつつも割り切るところは割り切って、本筋は迷い無く娯楽路線で押し通す。ご立派です。
原作では変化する壁の絵画や電話のメッセージだけで十分恐ろしかったですし、原作の怖さの半分以上はそこでした。映画では完全に刺身のつま状態。でも原作にこだわり過ぎてダメになったキング映画が死屍累々となる中、この判断でしっかり結果を出したということは評価できるでしょう。
日本公開版とアメリカ公開版ではラストが全く違うようです。
自分は日本公開のラストのほうがいいと思いますね。
ちなみに、アラーム時計から流れてた音楽はThe Carpentersの"We've Only Just Begun" です。
次に公開を待つキング映画は「ドランのキャデラック」です。なぜか主題歌をクリスタル・ケイが担当することが発表されています。
恒例キング通信。今は短編集「トウモロコシ畑の子供たち」。
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Review : 2008年11月26日 12:46
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