2008年11月17日 15:43

チョーク! - チャック・パラニューク

チョーク! - チャック・パラニューク日本公開が待たれるパラニューク映画化第二弾の原作。

[書籍]
タイトル : チョーク! Choke
著者 : チャック・パラニューク Chuck Palahniuk
出版社 : 早川書房
出版年 : 2004

9月に「サバイバー」を読んですっかりその世界に魅了され、続いて何を読むか、この「チョーク!」がすでに今年の春にアメリカで映画化されているという情報を小耳にはさみ、映画を見るより先に原作に触れておきたいと、こちらを選んで読みました。

観光客や小学生が歴史を学ぶためのテーマパークで農夫役のアルバイトをするセックス依存症の主人公・ヴィクターが、アルツハイマー症になった元活動家の母親の入院費用を稼ぐためにレストランで食べ物を喉に詰まらせたフリをして小銭を稼ぐ、という愛と友情とセックスと親子の物語。

Choke - Chuck Palahniuk「チョーク!」を読むことで、「サバイバー」を読むだけではわかりにくかったチャック・パラニュークの作風がよりはっきり分かりました。一人称での主人公の軽妙な語り口、作品中にバラまかれた現代社会を生きるのに役立つブラックな豆知識、その中に潜んだハっとするような名言、細かな章立てで場面や時間が飛び飛びに展開する、まるで映画を編集するように文章を切り貼りしたような構成。

この作品の大部分を占めるセックス依存症同士のセックス描写は、エロいというよりも全然楽しく無さそうで笑ってしまうような脱力したもので、作中で言うところの「世間が都市伝説と信じていた人々。しかし、彼らは実在の人間だ」。

ラストに向けてとんでもない展開が待ってはいるのですが、とりたてて大きなドラマチックな出来事があるでもなく、基本的には主人公の心の葛藤を淡々と追い続けていくような流れの中に、一体なんのために生きているのか、人を救うとは、人に救われるとは、自分は何者なのか、もし何者でもなかったとしたら、こういう深いテーマが間の抜けた偽装レイププレイと並行して描かれるわけです。

このダメ人間の告白を最後まで読み終えて頭に残ったのは、数々の役に立たなそうな豆知識と、漠然としながらも極めて前向きな清々しさでした。

▲ CHOKE - Official Trailer

主人公ヴィクターを演じるのは「銀河ヒッチハイクガイド」で宇宙大統領、「グリーンマイル」で死刑囚ワイルド・ビルを演じていたサム・ロックウェル。

■ 関連サイト

Review : 2008年11月17日 15:43

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