2008年11月07日 10:28

「1秒でも無断で利用することは違反」サンプリングに対するJASRACの見解

「Exciteニュース」にサンプリングで音楽を作ることに関連したJASRACへのインタビュー記事が掲載されています。

■ サンプリング”で音楽を作るルール(Exciteニュース)

社団法人日本音楽著作権協会(以下JASRAC)によれば 「サンプリングをする場合は、元の曲の著作権者(作詞者、作曲者)と著作隣接権者(レコード製作者、実演家)の許可が必要です。作詞者、作曲者がJASRACに著作権を預けている場合は、JASRACが著作権手続きの窓口になります。ただし作詞者、作曲者は自ら創作した作品について勝手に“改変”されない権利(著作者人格権)を専有していますから“一部だけ切り取る”ことが可能かどうか、(JASRACとは別に)本人に許可を得る必要があります。著作隣接権(レコード製作者の持つ複製権、実演家の持つ録音権)のことを業界では通称『原盤権』と呼んでおり、原盤権の手続きについては、まずはその作品のレコード会社に問い合わせれば良いと思います」

サンプリングを使用した音楽をリリースする場合、まず著作権者(レコード会社/アーティスト)に許可をとる必要が有って、とった上でJASRACに申請、という流れでしょうか。

とあるレコード会社に問い合わせたところ、申込書のようなものを用意しているとので必要事項を書いて、送ってほしいとのこと。その書類を見て、利用を許可するか検討し、許可された場合は値段などを知らせるんだとか。

レコード会社やアーティストに支払う金額は決まっておらず、使い方や使う側の経済状況を鑑みて交渉で決めるということでしょう。まとまった額をボンと最初に払う場合もあれば、印税の○パーセントなんて話も聞きます。

ここでアーティストが「タダでいいよ」と言ってくれても、JASRACが著作権を管理している限りは、JASRACに使用料を払わなくてはいけないわけです。つまりJASRACと著作権者の双方にお金を払うわけです。

目をひいたのは下のコメント。

「きちんとした許可を得ていない作品もあり、あとで問題になることもあります。また、『○○小節までならOK』『何秒までならOK』と思っている方もいますが、1秒でも無断で利用することは違反になります。ですので、サンプリングをされる場合はしっかりと許可を得て頂きたいです」とのこと。

『○○小節までならOK』はよく言われますが、サンプリングではなくてメロディーの「パクリ」の場合にも法律には明確な規定はないはず。1小節に満たなくても「パクリ」の場合も有れば、その逆もあるということです。ほとんどの場合が判決を仰がずに示談で解決するので、判例として残りにくいんだとか。

1秒でもアウト、というのはいかにも四角四面。とはいえ、1秒ならセーフ、というのも取り締まる側としては無理なコメントか。ドラムの音を一発だけ抜くようなことは音を作る現場では日常茶飯事だろうと思いますが、厳密に言えば当然それもアウトです。

実際のところ、その1秒を聴き分けて「この音はサンプリングだ」と断定できるだけの技術が存在するのかはちょっと疑問で、EQやピッチをいじってあったり、「いいえ、徹底的にこだわってその音を自作しました」と言われたら反論不可能な場合が少なからずあるのでは。サンプリングについていくら細かく法律で決めても、最終的な判断は裁判官の耳と感覚の問題になってしまう。もしくは「波形上で16ポイントが合致したのでサンプリングと認める」みたいなことにしていくか。

JASRACが単独でサンプリング警察として違反取り締まりに動くことがあるのか、その場合どの程度のサンプリングに対して出動がかかるのか、そのあたりの運用の実態に興味が有ります。が、ほとんどの場合はJASRACではなくて著作権者(レコード会社/アーティスト)の裁量・判断で訴えることになるのでしょうから、JASRACの見解よりもレコード会社やアーティストの見解を訊きにいった方が訴える・訴えないのボーダーラインは見えてくるでしょう。

News : 2008年11月07日 10:28

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