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2008年12月02日 11:56
ダイアリー・オブ・ザ・デッド
Shoot 'em in the head!
ゾンビの祖、ジョージ・A・ロメロの新作ゾンビ映画。
世界中で死者が蘇り始める。そのとき山奥でホラー映画を撮影していた学生グループ、その状況の全てを手持ちのカメラで記録してドキュメンタリー映画を製作する。
「REC」「クローバーフィールド」のような手持ちカメラでの主観映像と言う点ですが、この「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」は主観映像がカメラ2台ぶんあって、他にもケータイムービーやYouTubeの動画までが登場する上、それらの映像をPCで編集して、ご丁寧にナレーションに音楽まで乗っけて完成させた映像作品「Dead Of The Dead」を皆さんにご覧いただく、という体裁です。なので「REC」「クローバーフィールド」の主観映像とはちょっと趣が違って、むしろフェイク・ドキュメンタリーの要素が非常に強いです。キャンプカーで移動するシーンが多く、さながらロードムービーのようでもありましたが。
この「ドキュメンタリー」のテーマは、現代のメディアのあり方。YouTube、ブログ、SNS(MySpace)、情報操作、主観と客観。「現代のメディア」なんていうリアルなテーマについて、学生が編集した(というていの)リアルなニュース映像やナレーションが、いかにもドキュメンタリーっぽく何度もインサートされます。まるでNHK-BSでやってる海外のドキュメンタリー番組を見てるようで、シリアスかつ重厚ではあるのですが、それくらい淡々としたドラマ性の薄い作品だったとも言えるわけで、人によって賛否がわかれるところだと思います。
実際、ホラー映画としてはさほど怖く無くて、そういうカタルシスはほとんど満足されなかったのですが、スプラッター描写やゾンビの見せ方・アイディアは実に多彩な上に絶妙で、いぶし銀の味わいすら感じられました。ゾンビ映画にいぶし銀の味わいなんて、これまで小規模なものから大規模なものまで、酸いも甘いもゾンビを知り尽くしたロメロ監督にしか出来ない芸当ではないでしょうか。ホラー的な部分以上にロメロ監督らしいユーモアのある場面が冴えていて、自分の見た映画館では悲鳴は全然あがらなかったのに爆笑は数回起こりました。
今作「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」は大規模か小規模かといえば、間違いなく小規模な、原点回帰を感じさせる小品でした。とはいえ、ゾンビ映画をさらに一段上のレベルに引き上げようとするチャレンジとして、非常に価値ある大きな一撃だったと思います。
エンドロールでThanksとしてWes Craven、Stephen King、Simon Pegg、Quentin Tarantino、Guillermo del Toro、Tom Savini、の名前が挙がっていますが、Stephen Kingは気の狂った宣教師、その他はニュースキャスターとして、声だけ出演しているそうです。
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Review : 2008年12月02日 11:56
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