2008年12月21日 00:09

Recomposed By Carl Craig & Moritz Von Oswald

Recomposed By Carl Craig & Moritz Von Oswaldラヴェルとムソルグスキーを「Recomposed (再作曲)」。

[CD]
タイトル : Recomposed By Carl Craig & Moritz Von Oswald
アーティスト : Carl Craig & Moritz Von Oswald
レーベル : Deutsche Grammophon
リリース年 : 2008
試聴 :

デトロイトテクノの人Carl Craigとミニマルダブの人MaurizioことMoritz Von Oswaldの二人がHelmut Karajan(カラやん)が指揮したベルリンフィルハーモニックオーケストラの演奏をRecomposedした作品。なんだか紹介文に登場する固有名詞のパワーが半端なく強いです。

▲ Festival of Lights 2008 /Music by Carl Craig/Moritz v Oswald

上の動画の曲のタイトルは「Movement 5」。このアルバムに収録されています。

そもそもRecomposedって一体なんだ、このアルバムは一体何なんだ、リミックス盤? という疑問があろうかと思います。砕いて説明すると、ベルリンフィルハーモニックオーケストラが1987年に録音したラヴェル「ボレロ」ムソルグスキー「展覧会の絵」のマルチテープを、Carl CraigとMaurizioがツギハギしてアルバム1枚作っちゃいました、ということです。

Remixと呼ぶには多くの曲が混ざり過ぎて何の曲かわからなくなってるし、かといってCarl CraigとMaurizioのオリジナル曲とするには素材が剥き出しすぎる。ではなんと呼ぶか。…じゃぁRecomposed?「テクノの名曲をオーケストラが!」とか「あのクラシック名曲をダンスミックス!」みたいなものとは次元の違う、なかなか前例の見当たらない作品であることは間違いないです。

「TVチャンピオン」の優勝者決定時BGMとしてお馴染みのラヴェル「ボレロ」はすぐわかりますし、「展覧会の絵」から「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」「カタコンブ」のフレーズが使われているのはわかりました。その「ボレロ」の小太鼓に「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」の管楽器が重ねられていたり、様々な曲のパーツが完全に混ぜこぜになって違う曲へと生まれ変わり、時間をかけてミニマルに展開していきます。

クラシック音楽に興味が無くても部分部分は誰でも聴いたことあるような「ボレロ」「展覧会の絵」の両曲ですが、このRecomposedでは耳馴染みあるメインフレーズはまったく使われていません。恐らく意図的に避けたのでしょう。

約一時間をほぼ2部構成に分けてジワジワ盛り上げる、組曲と呼ぶにふさわしいよく練られた素晴らしい作品です。トランペットの音にうっすらディレイがかかったりフィルターがかかったりするのがとても心地よいです。素材に敬意をはらいながらも、Carl CraigとMaurizioに期待するテクノ・ミニマル・ダブもしっかり表現されています。

Carl CraigとMaurizioが競演!「Domina」再び!というのだけを期待するとちょっと物足りないと思うので、そこだけ注意を。アルバムの半分近くはキック無しです。キックの音は木管楽器からサンプルした音だそうです。

Review : 2008年12月21日 00:09

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