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2009年04月14日 21:17
Take My Breath Away - Gui Boratto
「シューゲイズ・ミニマル」というジャンル名でくくられているそうです。
ドイツミニマルの総本山Kompaktから、ポップなミニマルテクノを作るブラジル人、Gui Borattoのセカンドアルバム。
あれ、何かが変わった?
前作「Chromophobia」と何が違うのか。よりロックっぽくなったかといえば、そうとも言えるかもしれませんが、前作もアルバム後半なんかはこのアルバムと地続きのロックっぽさがありましたし、ギターもボーカルも以前から導入済み。もっとわかりにくく何かが違う。
気になって仕方ないので、「Chromophobia」「Take My Breath Away」両作品をごちゃ混ぜにして徹底的に聴いて、自分なりの結論を出しました。結論は「シンセの扱いが変わった」です。
まずキラキラと明るい音が多かったシンセの音色が、多くの曲でくもった控えめなものに変わています。加えてメインのシンセの音がミックスで後ろに少しひっこんだようにも聴こえます。また、前作ではグリッチっぽいシンセノイズにフィルターをかけたような音がパーカッション的に鳴らされていて、これが左右スピーカーを駆け巡っての大活躍、かなり前面に出ていましたが、今作では大きく後退しました。あとは、ミニマルテクノ的にシンセのワンフレーズだけで引っ張る曲が減った上に、パンチがちょっと弱いのも印象に作用していると思います。
では「Take My Breath Away」により特徴的なものといえば、メロディや音色のバリエーション、アンサンブルの面白さ、曲の展開、曲調の豊富さでしょう。「いつ歌が入ってくるの?」とポップスのインストを聴いてるような感覚になるものも多数あって、DJツールっぽさのあった前作より、アルバムとして一曲一曲を聴かせようという意識が強く感じられます。
上の曲、なぜか同じものがYouTubeに10件以上あがってます。「すでに他の人があげてるけど、いい曲だから自分もアップしたい」という複雑なファン心理。「レコメン症候群」と名付けましょうか。
今作がロック層を取り込んで、より多くのリスナーにアピールするのは間違いないと思います。とはいえ、リバーブたっぷりのロックドラムの入った「Les Enfants(→YouTube)」あたりを飛ばして聴いてるテクノ系リスナーも少なくないんじゃないでしょうか。テクノ系リスナーの心理も複雑です。
この曲は前作「Chromophobia」に収録。自分としてはこれくらいのポップさが一番心地よいです。
ほんの少し個性は違いますが、どちらもいいアルバムであることは間違いないので、ぜひ両方聴いてみてくださいませ。
Review : 2009年04月14日 21:17
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