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2009年05月27日 11:21
Yesterday and Today - The Field
スウェーデンのテクノアーティスト、The Field待望のニューアルバム。
大評判だった2年前のアルバム「From Here We Go Sublime」は一人パソコンでチマチマとつくったそうですが、今作はバンドを引き連れて、ストックホルム近郊の島で一週間の合宿を行って大部分を作ったそうです。ドラムは恐らく生ドラムを録音したものが基本になっていて、加工されているものもあれば生っぽさが濃厚に残っているものもあり、どちらにも違和感は全く感じません。サウンド全般に感じる「生っぽさ」はドラムが生というだけでなくて、リバーブ系のエフェクトだったり、リズムもうっすらずらしてあったり、機材を目の前で「いっせーのーで、ドン」とスタートボタンを押しているようなラフさがあります。
なぜかやたらU2っぽい1曲目「I Have The Moon, You Have The Internet」(面白いタイトル)で、まず上に書いたような、前作のスッキリ感とは異なるサウンドの生っぽさに驚いて、2曲目「Everybody's got to learn sometime」でたまらず立ち上がって拍手します。これはThe Korgisというバンドの曲のカバーで、BeckやErasureもカバーしているような80'sバラードの隠れた名曲です(→YouTube)。原曲の持つ繊細さ・ナイーブさをしっかり生かしながらも、カットアップされたシンセの和音などのThe Fieldらしさがふんだんに盛り込まれていて、壮大な広がりを感じさせる素晴らしい一曲です。
タイトルトラックの「Yesterday and Today」は、前作っぽいダンストラックだな、と聴きはじめると徐々に生ドラム感が強調されはじめて、最終的には生ドラムと生ベースだけでシンプルにファンクしているという面白い曲。最後の「Sequenced」は15分もある大曲。まさしくサイケデリックロック。The FieldことAlex Willnerはクラブカルチャーにあまり興味ないタイプの人で、インタビューを読むと、昔の電子音楽やクラウトロック(ジャーマンプログレ)あたりがインスピレーションになっているそうです。確かにいわれてみれば全体にCanっぽいかも。
アルバムの5曲目「The More That I Do」が無料で配信されています(→Link)。
全6曲で60分。つまり平均1曲10分。期待以上の内容でした。ちなみに、Alex Willnerの昼の仕事は酒屋の店員で、ソムリエ資格の取得を目指して頑張っているそうです。
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Review : 2009年05月27日 11:21
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