2009年06月01日 14:38

CD衰退は次のフェーズへ突入しているのか - 日米でCD買い取り価格低下中

「金の必要に迫られてCDを手放す音楽ファンが急増」というアメリカの記事。

生活に困った音楽ファンが、中古CD店にスーツケースいっぱいのCDを持ち込んで売りさばいていて、ATM感覚で急場の金をつくっている、というレポートがアメリカのサイトNPRに掲載されています。

■ Strapped For Cash, Music Fans Let Go Of CDs(NPR)

California's Amoeba Records is the largest used-music retailer in the world. The checkout lines often wind deep into the clearance aisles. But not lately. These days, the real action comes from people selling their collections — and using the store as an emergency ATM.

At Amoeba Records in California, more people are selling CDs than buying these days.

▲ At Amoeba Records in California

売りにくる客が多すぎて、中古CD店は在庫過剰になってしまい、買い取り価格を下げることで対応しているようです。西海岸(カリフォルニア)でも東海岸(ボストン)でも同じ現象が起こっていると記事にあります。

当然、目下の景気の問題はアメリカだけの問題ではないので、日本でもブックオフを中心に同様のことが起こっているのではないかと推測します。

2ちゃんねるの洋楽板にあるディスクユニオンのスレッドを見ると、上のアメリカの状況を連想させるやりとりがありました。

■ ディスクユニオンを語ろう-23(洋楽@2ch掲示板)

789 名前: 名盤さん Mail: sage 投稿日: 2009/05/13(水) 10:02:58 ID: c0kelVyM
(略)それにしてもユニオンの買取が暴落してないか?久々に売りに行ってみたら、あまりの安さに呆れてしまった…

791 名前: 名盤さん Mail: sage 投稿日: 2009/05/13(水) 10:36:50 ID: 0XE+7Vg9
明らかに暴落してるね。20%上乗せしても数ヶ月前より酷くなってた。おまけにアナログ買取拒否されたw どこも厳しいんだな~

792 名前: 名盤さん Mail: sage 投稿日: 2009/05/13(水) 15:10:56 ID: c0kelVyM
(略)ユニオンの買取りは確かに数カ月前までとは比べものにならないくらい落ちてた…ちなみにCDね。強化してるソウルやレアなレコなら高いのかもしれんが。

793 名前: 名盤さん Mail: sage 投稿日: 2009/05/13(水) 18:08:11 ID: vCeYzZJ6
>>789
>ユニオンの買取が暴落
すごい同感。いつもどれくらいの値段がつくか予想して持ち込みしてるんだけど以前は見積もってた額より10%は上回ってたのに、ここ3回は30~40%減だよ。明らかに買取額がしょぼくなってる。売りにいったのは町田店と横浜西口店。しかも絶対Aだろって思ってたものがBとか多すぎ。買取表に査定者の名前残ってるからもうその店員には査定してもらわないようにする~

795 名前: 名盤さん Mail: sage 投稿日: 2009/05/13(水) 21:20:44 ID: hwIrxDVu
だって、ここ数年ユニオンのアナログの安さはハンパないもん。売り値がこんな捨て値なんだから、買取値に希望なんかもてませんぜ旦那

ここで気になるのは、生活のために手元のCDを売っている人達は、そのCDのデータをパソコンなりCDRなりに取り込んでバックアップしている可能性は極めて高いということです。

パソコンに取り込んでMP3で聴いているから「CD盤」を手放しているのであって、必ずしもそのCDに入っている音楽への興味が無くなったからCDを売っているのではないと推測します。ジャケットを眺めたくなった時のためだったり、売りにいくのが面倒だからだったり、たいした買い取り金額にならないからだったり、なんとなく家に残しておいたCDだけど、家賃が払えないとなれば背に腹はかえられません。「よく考えてみれば、買ってきた日にパソコンに取り込んで棚に片付けて以降、このCD、触ってすらいないな。触ってすらいないCDを売ったところで何も困らない、早速売りにいこう」。この不景気がCD売却決断の「最後の背中のひと押し」の役割を果たしているのではないでしょうか。で、実際売ってみると、買い取り価格が暴落する中では、期待を遥かに下回る小額にガッカリすること間違い無しです。

仮に景気が数年で回復して、CDを手放した人達に収入が戻ってきたとして、収入とともにCDを買う習慣は戻ってくるのでしょうか。月3枚CDを買ってた人が月3枚CDを買う習慣を取り戻すのか。自分は戻ってこないように思います。習慣以前に、その人の部屋にMP3プレイヤーとパソコン以外に音楽を聴くための「装置」が残り続けるのかどうかも疑問です。

日本でも欧米でも、10代20代の若者の間ではとっくにCDからMP3にシフトしているという話はよく見聞きします。そこに加えてこのCD売却ブームは、明確なこだわりがあるわけでもないがなんとなくCD盤を買ってきたような、10代20代以外の世代すらもCDから引き離してしまうような、大きなきっかけになっているように感じてなりません。CDは中産階級以上の贅沢品・嗜好品という形で細々と生き長らえることになるのか。CD衰退は次のフェーズへ突入しています。

News : 2009年06月01日 14:38

ブックマーク

Yahoo!ブックマークGoogleBuzzurlニフティクリップlivedorr clipdel.icio.usはてなブックマークCD衰退は次のフェーズへ突入しているのか - 日米でCD買い取り価格低下中のはてなブックマーク数

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL :
http://www.spotlight-jp.com/matsutake/mt/mt-tb.cgi/318