2009年10月16日 18:19

A Pox On the Pioneers - Andrew Weatherall

A Pox On the Pioneers - Andrew Weatherallアンディ・ウェザオールの本名名義での初アルバムは歌モノロック。

[音楽/レビュー]
タイトル : A Pox On the Pioneers
アーティスト : Andrew Weatherall
レーベル : Rotters Golf Club
リリース年 : 2009/9

元Sabres of Paradise、元Two Lone Swordsmen、Primal Scream「Screamadelica」のプロデュース、数々の素晴らしいリミックスワークやDJ&プロデュース仕事、挙げ始めればきりがない、燦然と輝くUKダンスミュージック界の重鎮、アンディ・ウェザオール(Andrew Weatherall)の本名名義での初アルバムです。

どうやら歌モノアルバムらしい、という前情報はありましたが、ここまで歌モノしているとは予想を越えてました。しかも全てウェザオール自身がメインボーカルを取っています。インストは2曲だけです。大半の収録曲はクラブミュージック的な平板な構造ではなく、ロックやポップス的なAメロBメロというような構造を持っています。

Two Lone Swordsmenの後期にもこういうロックバンドっぽいテイストはありました。「A Pox On the Pioneers」はその延長線上にあるのですが、今作では曲が格段にキャッチーに進化しています。ロカビリーやパンクっぽい生楽器中心の冷んやりしたサウンドも、今作では打ち込みやシンセの比重が増していて、最近あまり無かったリラックスした雰囲気の曲も多くあります。

Andrew Weatherall image本名名義の初のアルバムということもあって、ウェザオールの歴史の集大成としてこのアルバムを捉えたくなりますが、そういう風に聴くより、変わったロカビリーやマイナーなニューウェーブやダブが好きだというUKの新人ロックバンド「Andrew Weatherall」のデビューアルバムを、元Two Lone Swordsmenの人がプロデュースしている、という感覚で聴くくらいが丁度しっくりきます。言いかえれば、天才ウェザオールの自我が炸裂したソロデビュー盤を期待する耳には、ウェザオールのプロデューサーとしてのバランス感覚が働いているのか、この行儀の良いまとまり具合には若干の肩すかしを感じてしまいます。しかし、70年代後半〜80年代初期の裏街道ロックをうまく咀嚼した現代的なロックアルバムとして必聴であることは確かです。

YouTubeを探しても関連動画が全く見つかりませんでした。そのかわり、アルバムの最後を飾る曲「Walk Of Shame」がMP3で無料配信されているので、ダウンロードして聴いてみてください(→Link)。

ウェザオールは「Vs The Boardroom」の第二弾ももうすぐ出ますし、Fuck Buttonsのアルバム「Tarot Sport」を丸々プロデュースしていて、それももうすぐ発売です。

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Review : 2009年10月16日 18:19

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