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2009年10月28日 09:33
Daft PunkサンプルネタCDの正誤チェック / Discovered: A Collection Of Daft Funk Samples
サンプリングしてない曲も入ってます。
2007年に書いた「Daft Punkのサンプリングネタ集 発売」というエントリー(→Link)に今でもちょこちょこアクセスがあるようなので、今さらですが、補足的に書いておきたかったことをいくつかまとめました。
なぜか「Discovered: As Sampled by Daft Punk」というタイトルでほとんどのネットショップに登録されていますが、正式なタイトルは「Discovered: A Collection Of Daft Funk Samples」です。収録曲は下のとおり。
- Breakwater - Release The Beast (Robot Rock) →YouTube
- George Duke - I Love You More (Digital Love)→YouTube
- Edwin Birdsong - Cola Bottle Baby (Harder, Better, Faster, Stronger)→YouTube
- Cerrone - Supernature (Veridis Quo)
- Tata Vega - Get It Up For Love (Da Funk)
- Karen Young - Hot Shot (Indo Sliver Club)
- Chaka Khan - Fate (Music Sounds Better With You - by Stardust)
- Sister Sledge - Il Macquillage Lady (Aerodynamic)
- Oliver Cheatham - Get Down Saturday Night (Voyager)
- Eddie Johns - More Spell on You (One More Time)
- Little Anthony & The Imperials - Can You Imagine (Crescendolls)→YouTube
- Jerry Goldsmith - The Rec Room (Around The World)
聴けば一発でわかる曲が半分くらいです(代表的な曲をYouTubeへリンクしました)。しかし、何度聴いてもよくわからず、本当にこの曲を使ってるのか疑問に感じる曲があります。「Around The World」「Veridis Quo」「Voyager」「Music Sounds Better With You」「Da Funk」がそれです。
Daft Punkの曲とサンプルネタとされる曲を徹底的に聴き比べたりネットを検索したりと、地を這うような調査(というほどでもない)をした結果、これらの曲のサンプルネタとしてこのCDに入っている曲を、Daft Punkはサンプリングしていない、と結論しました。
■ Da Funk
「Da Funk」のサンプルネタとしてTata Vega「Get It Up For Love」が収録されています(→YouTube)。しかし、この曲をサンプリングしているのは、オリジナルバージョンの「Da Funk」ではなくて、Armand Van Heldenによるリミックスバージョンの「Da Funk 'Ten Minutes Of Funk' Mix」です(→YouTube)。さらに、Armand Van Heldenがサンプリングしているのは「Get It Up For Love」のロングバージョン(→YouTube)でしか聴けない、曲後半のシンセソロの部分で、このコンピ盤に収録されているショートバージョンではこのシンセソロの部分を聴くことはできません。
■ Music Sounds Better With You - by Stardust
Stardust「Music Sounds Better With You」は、サンプルネタとしてCDに入っているChaka Khan「Fate」は1989年のリミックスバージョン(→iTunesStore)なのですが、Daft Punkがサンプリングしているのは1981年のオリジナルバージョンの「Fate」(→YouTube)でした。Daft Punkがサンプリングした音は、1989年のバージョンには入っていません。
■ Voyager
もうひとつ、「Voyager」は、サンプルネタとしてCDに入っているOliver Cheatham「Get Down Saturday Night」は1990年のリミックスバージョンの「Get Down Saturday Night (Get Down In The 90's Mix)」なのですが、Daft Punkがサンプリングしているのは1983年リリースのオリジナルバージョンの「Get Down Saturday Night」(→YouTube)でした。Daft Punkがサンプリングした音は、1990年のバージョンには入っていません。
Daft Punkがサンプリングしていないと断言できるのは上の3曲です。これが適当なブート盤なら文句も言いません(言うかも)。でも、Rapsterさん、正規盤でこれはちょっとひどくないですか。ライセンスの問題なのか、うっかりのチェックミスなのか、大人のイタズラ心なのか。CDのサブタイトルが「Daft Punk Samples」じゃなくて「Daft Funk Samples」なのはこういうことでしたか。「バイ○グラあります」「消防署のほうから来ました」「NTTパートナーズです」みたいな。
■ One More Time
さて、気を取り直して、サンプリングしているものについても書いておきます。「One More Time」のサンプルネタとして収録されているEddie Johns「More Spell on You」(→YouTube)は、それっぽいですけど、どこをどうサンプルしたのかは、聴いてるだけではよくわかりませんでした。そこでYouTubeを調べると、面白い動画がありました。実際に「More Spell on You」をカット&ペーストして「One More Time」を作っています。
しっかり「One More Time」になってます。Daft Punk本人達はサンプルの使用を否定していますが、こうして組み立てたものを聴くと明白です。このコンピCDのジャケットのこの曲のクレジット部分をみると「私達はこの曲の権利者を見つけられませんでした。権利者の方は連絡を下さい。<レーベルのメールアドレス>」と書かれています。こういうクレジットは初めて見ました。
■ Around The World / Veridis Quo
上の動画の作者も「Around The World」には、このコンピに元ネタとして入っているJerry Goldsmith「The Rec Room」は使われていないと考えているようです。自分も同感です。そっくりのシンセの音は聴こえます。でも、サンプリングできるポイントが無いしフレーズも違います。似たシンセ音が鳴ってるだけじゃないでしょうか。「Veridis Quo」もそれに近くて、曲のフレーズが似てますね、というレベルの曲だと思います(ドラムをサンプルしているという意見もありますが、うーん →YouTube)。「いや、ここをこうサンプリングしてる」と解明された方は是非教えてください。
■ Indo Sliver Club
「Indo Sliver Club」はサンプルネタを細かく切り刻んでサンプリングしています。これを解析して丁寧に手順を説明しながら再現している動画を見つけました。
脱帽です。サンプリングされている部分は1秒にも満たない短さ。ここまで短かいと、サンプルネタの曲を聴いてどうこうというのはほとんど無いですね。
このコンピレーションをリリースしたレーベルRapsterは、今年同じようなコンセプトでMassive Attackの初期曲のサンプル集「Protected: Massive Samples」を出しています。こちらは「この曲は使ってないんじゃないの?」というのはありませんでした。Daft Punkのサンプル集以上に素材が丸出しで、「聴けば一発」率が高かったです。Massive Attackのファースト「Blue Lines」は今でも愛聴している大好きなアルバムですが、考えていた・感じていた以上に2ターンテーブル&マイク的なヒップホップらしい作りの音楽だったことに気づいて驚きました。
■ 関連サイト
Review : 2009年10月28日 09:33
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