2009年11月05日 10:42

マーヴィン・ゲイが丸出しドラムマシンにのせて歌うアメリカ国歌 - 最後のTV出演映像

1983年NBAオールスターゲームでの映像です。

スローなドラムマシンのビートにのせてセクシーに歌われるアメリカ国歌「Star-Spangled Banner」。何の曲かわからないくらいオリジナリティあるアレンジです。

マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)が亡くなる1年くらい前の映像です。もし彼が生き続けていたとしたら、次はこういうエレクトロなファンク・ソウルをやっていたんでしょうか。惜しい。

80年代のヒット曲『彼女はサイエンス』でおなじみのトーマス・ドルビー(Thomas Dolby)が、自分のブログ(→Link)でこの映像を紹介しています。

なぜトーマス・ドルビーがこの演奏を取り上げているのかと言うと、1985年のグラミー賞の授賞式でトーマス・ドルビー、ハワード・ジョーンズ、ハービー・ハンコック、そしてスティービー・ワンダーという当時を代表するシンセ奏者4人が、それぞれのヒット曲をメドレー形式で演奏する、というコーナーがあって、そこで彼ら4人が最後に「Star-Spangled Banner」を演奏しているのですが、そのアレンジを決めるためのトーマス・ドルビーとスティービー・ワンダー2人だけの話し合いの中で、このマーヴィン・ゲイのNBAオールスターゲームでの演奏が話題にあがった、として振り返っています。

トーマス・ドルビーが出した「ドラムマシンのスローでセクシーなグルーヴにしよう」というアイディアに対して、スティービー・ワンダーが答えています。

うーん。前にマーヴィンがそういうのをやったんだよ。彼はNBA all-star gameで歌ったんだ。知らない? その後、彼は死ぬまでテレビには出られなかったんだ。すべてのネットワークの重役達は、黒人が歌うセクシーなバージョンの国歌っていうものを理解できなかったからね。

「マーヴィンはどんな風に歌ったの?」というトーマス・ドルビーの問いに応えて、スティービー・ワンダーがピアノで演奏を始めるのですが、それを一対一で聴いて、心臓が止まるほど感動した、とトーマス・ドルビーは回想しています。そして、はじめてYouTubeでそのマーヴィン・ゲイが歌う国歌を見ることができて、最初から涙が止まらなかった、と書いています。

さて、そうしたやりとりを経て作られた、当時のトップシンセ奏者達による1985年のグラミー賞のステージ「シンセサイザーメドレー」、その映像をどうぞ!(via: SynthGear

伝説のシンセが山積みになっている中で、トップミュージシャン達が、まさかの「あて振り」。トーマス・ドルビーなんてノリノリでTR-606(ドラムマシン)を使ってサンプラーの演奏してますよ。TR-606でそんなことは可能なのか、とYouTubeのコメント欄で議論になってますが(800件以上のコメント)、当然不可能です。国歌のほうもマーヴィン・ゲイのやりとりは何だったのかというほどメチャクチャ軽い。これが80'sソウル。

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Text : 2009年11月05日 10:42

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