2009年11月28日 10:34

Technics SL-1200 の製造が2010年で終了するらしい:追記有り

クラブDJの定番ターンテーブル「Technics SL-1200」の製造が終了するという噂が飛び交っています。

※ 2010/10/02 一番下に新しい追記が有ります

噂の起点は「DMC」というニュージーランドのDJショップで、この店のサイトの商品紹介ページに以下の文章が掲載されていました(現在は削除→数時間後に見たら再掲されてました)。

■ TECHNICS SL-1210 MK5 Direct Drive Turntable(DMC)

Panasonic (the manufacturer of Technics) have announced that production of the world famous Technics SL-1200 and SL-1210 DJ turntables will stop at the end of February 2010.

2010年2月でSL-1200の製造をストップすることをパナソニック(Technicsはパナソニックの高級オーディオ機器用のブランド名)が発表した、という内容です。

このショッキングなニュースは、またたく間に世界中のクラブ・DJコミュニティに広がりました。ですが、上のニュージーランドの店舗の発表しか情報ソースが無く、そのソースも削除されたとなって、信憑性に疑問符がついていました。

ところが、本日、オーストラリアの音楽情報サイト「inthemix」が、パナソニックのオーストラリア支部の発表として、スポークスマンの言葉を掲載しました。

■ Technics is dead (inthemix)

“It is a sad day today but due to low sales globally in analogue turntables a decision to stop production has been made on Technics Turntables,” Panasonic spokesman Ian North explained.

SL-1200 MK6「悲しいことですが、世界的にアナログターンテーブルの売り上げが低調なため、テクニクスのターンテーブルの製造停止を決断しました」という内容。これが本当なら確定です。(追記:スポークスマンとして元記事中に記されているIan Northという人物は、Panasonic AustraliaのAudio部門のProduct Managerのようです →Link

この発表のニュアンスだと、マイナーチェンジや新機種への切り替えではなくて、クラブ向けのターンテーブル事業からの撤退のように取れます。日本のTechnicsのサイトを見ると(→Link)Technicsは今はSL-1200の現行機種SL-1200MK6以外には、DJミキサーやDJ用ヘッドホンなどのDJ関連商品しか扱っていません。SL-1200の製造停止はTechnicsブランドの終了を意味するのではないでしょうか。一方で、海外のTechnicsのサイトは、2007年頃で更新が止まっているようです(→Link1 →Link2)。

「この噂はガセだとUKのパナソニックが否定した」というコピペが様々な掲示板に投稿されていますが、このUKパナソニックが否定という文章は、2007年に「skratchworx」というサイトに掲載された別件に対する記事の改編で、こっちこそがガセ情報です(→改編元)。いずれにせよ、より公式な発表が待たれるところです。

昨年末のCISCO倒産もインパクトがありましたが、今回は(まだ確定では無いですが)ちょっとレベルの違う規模のインパクトです。アナログ時代の終了宣告です。SL-1200の代わりがあるのかと言えば、確かにいろんなメーカーがDJ用のターンテーブルを作ってはいますが…。世界中のDJ達は、望むと望まざると、自分のレコードライブラリーをデジタル化するのか、中古のSL-1200を買い占めておくのか、苦渋の選択を迫られることになります。

追記その1:09/11/30

11月30日のcnet.com.auに続報が出ました。「inthemix」の記事でPanasonicのスポークスマンとして名前のあがっていたPanasonic Australiaオーディオ部門の責任者であるIan Northが噂を否定しています。

■ Analog in 'decline' but Technics not dead(CNET)

Panasonic's Ian North has denied reports saying that he is uncertain where the rumour originated and while he is still waiting on clarification from Japan, news that sales would end in Australia was "premature".

噂の出元だったはずの人物が「そんな噂がどこから出たのかわからない。日本からの説明を待っています」と噂を否定しています。どういうこと? Ian Northと同様に、日本からの説明を待ちたいと思います。

追記その2:09/11/30

一方で、噂のもう一つの出元、ニュージーランドのDJショップ「DMC」も続報を掲載しました。こちらは「確かに製造停止の連絡を受けた」という内容。

■ TECHNICS SL-1210 MK5 Direct Drive Turntable(DMC)

We received an email from the NZ Panasonic product manager for Technics, James Petterson (who we have dealt with for many years now), on 19th November advising “I am sorry to say that the manufacture of Technics turntables will end in February (2010). A sad day!”.

こちらの情報源はニュージーランドPanasonicのproduct managerであるJames Pettersonという人物。DMCはこの週末に彼に会って、日本のパナソニックから製造停止の通知があったことの再確認を取ったようです。「DJ達はこのターンテーブルとこの会社を35年もサポートしてきたんだから、こういうニュースは、本社の口から出来る限り早くみんなに伝えるべきなんじゃないの?」と強気です。混沌としてきました。

追記その3:09/12/1

この件をずっと追っているサイト「skratchworx.com」に新情報が掲載されました(→Link)。Twitterに「panasonic_ru」というアカウントのユーザーが投稿した内容です。

■ panasonic_ru(Twitter)

Печально, но факт. Со следующего года не будет вертушек Technics. Продукт перестал быть массовым и не укладывается в бизнес Panasonic.

もちろんさっぱり読めませんが、これをGoogle Translateで翻訳するとこうなります。

Sad but true. Starting next year, will not turntables Technics. The product is no longer a massive and does not fit in the business Panasonic.

このアカウントが「なりすまし」の類いではなく、本物のパナソニックロシアのアカウントであることの証明が必要なので、この情報では確定は出せません(一応プロフィールには公式アカウントと書かれてはいます)。日本のパナソニックに動きは無し。

追記その4:09/12/2

「skratchworx.com」にさらに新情報が掲載されました。「DMC」がさらにパナソニックニュージーランドのproduct managerであるJames Pettersonとやりとりして情報を引き出したようです。

■ UPDATE 7 - 2/12/09: This just in from the original source of the rumour(skratchworx)

I’ve spoken several times this week with James (the product manager here at Panasonic NZ), who has had a number of calls with Panasonic Japan over the last three days. While Japan haven’t given us anything official as yet, James says that they have now told him that production of the Technics turntables is currently under review and that they haven’t made an official decision yet either way - which marks a back-pedalling on what they’d said to him and Australia (and Russia?) earlier!

この騒動中、James Pettersonはパナソニックの日本本社と何度も電話で話し合いをしたそうです。そして引き出した日本のコメントは「Technicsのターンテーブルの処遇は現在再検討中で、まだ公式の決断はなされていない」というもの。肯定でも否定でもありませんが「2010年で製造終了することを決断した」というところからは一応後退しています。

これは、ニュージーランドやオーストラリアの責任者がガセネタを言っていたということではなく、世界的な波紋の大きさに驚いたパナソニック本社が、内部で方針としてある程度固まっていた製造停止の決断を一旦保留して、再検討の猶予期間を持つことにした、ということではないかと自分は推測します。

追記その5:10/10/02

ここにきて日本国内でも楽器店のサイトに生産終了の情報が記載される(→Link)など情報が錯綜していますが、そもそもの噂の起点だったニュージーランドのDJショップ「DMC(現在はMixfoundationと名称を変更)」が、10月1日に届いたというパナソニック日本本社からの手紙を公開しています。SL-1200製造終了についての公式コメントが書かれています。

■ Panasonic officially announces Technics production to end 2010(Mixfoundation)

"Regarding Analogue turn-table products, we have to inform you of our decision to terminate the business within this year, regrettably. Followings show the reasons which made us to reach to this conclusion.

1) Since beginning of the last decade, our sales of turn-table has been decreasing drastically. It's almost one-fifteenth sales units compared with 10 years ago.

2) Never the less, many key parts are no longer available as some of our suppliers stopped production, and some have already discontinued their business. And there is a risk for some key parts that are available currently might be stopped suddenly, because those parts are continued producing only for our turn-table. In that case we cannot produce products that we have taken order already. We cannot help discontinuing production in advance in order to avoid the worst case."

- Panasonic Japan

日本のパナソニックから受け取った手紙の転載だそうです。要約すると 「ここ10年でターンテーブルの売り上げが劇的に減少した上、重要なパーツの確保も困難となったため、2010年内でターンテーブルの生産を終了することを決断した」 という内容です。(追記:日本のDJショップにも同様の手紙が届いているようです。→Link

パナソニックからユーザーに向けての発表を待ちたいと思います。

News : 2009年11月28日 10:34

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