matsu & take

ドイツテクノの総本山「Kompakt」のオーナーMichael Mayerが新たにスタートさせたレーベル「Fright」の第一弾アーティストは、シカゴの2人組「Gatekeeper」。これが完璧にEBM、エレクトロニック・ボディ・ミュージックな音を鳴らしていてびっくりしました（EBMについてはこの記事が詳しいです →CDJournal）。

大袈裟なオーケストレーション、ダークなデケデケベースライン、映画セリフのサンプリング、残響たっぷりのドラムマシン。要素を取り入れているという次元の話ではなくて、徹頭徹尾80年代後半くらいのボディ・ミュージック、インダストリアル・ミュージックを、この00年代も終わろうとしている今、堂々と鳴らしています。皮肉抜きで最高に素晴らしいセンス。ビデオもしっかり意識して作られています。レーベル名「Fright」は「恐怖」の意味で、レーベルの方向性として昔のホラー映画的ダンストラックをリリースしていこうということのようです。

■ FRIGHT // INFO（KOMPAKT）

レーベルはKompaktから連想される普通のハウスやテクノからかなり離れたものになるでしょう。John CarpenterやClaudio Simonettiに影響を受けたダークなディスコトラックにフォーカスします。

ドイツとシカゴはボディ・インダストリアル系の音楽の二大聖地です。ボディ・インダストリアルの再興がドイツのレーベルとシカゴのバンドのタッグ結成から始まるというのは実に象徴的で面白いです。

Fact Magazineのサイトで配信されたGatekeeperによるハロウィンMixが、3週間限定の配信のはずが今でも残っていて、グループの音楽性の背景が垣間見れます（→MP3）。トラックリストはこんな感じ。

• Wendy Carlos - Clockwork Black (GK Frizzi edit)
• Mark Shreeve - Flagg from 'Leigon
• John Carpenter - Das Philidelphia Experiment
• Chris & Cosey - Take Control
• Beau Wanzer - Fuclax
• Front Line Assembley - Attack (GK Diablo PC edit)
• Goblin - Phenomena (Bonus Hit 3)
• White Car - Not Right
• Jean Michelle Jarre - Ethnicolor
• Skinny Puppy - Assimilate
• Harold Faltermeyer - RV From Hell
• Fockewulf 190 - Bodyheat
• Tanzen - Tragic Error
• Logic System - Person to Person
• Dopplereffekt - Sterilization
• Squandra Blanco - Night of the Illuminati
• Depeche Mode - Big Muff
• Harry Manfredini - Friday the 13th part 3
• Skatt Bros - Walk the Night
• Nitzer Ebb - Control I'm Here
• Michael Boyd - Unsolved Mysteries Theme
• Chris Carter - Interloop (GK Derbyshire edit)

刺さらない人にはなんにも刺さらないですが、刺さる人にはズンズン来る選曲です。ハロウィンMixに合わせて掲載されているインタビュー（→Link）の中で、自分たちの音楽を「Cinematic electronic body music」と表現していることからも、ボディ・ミュージックを作っていることに意識的なことがわかります。SF映画のスコア、イタロディスコ、初期のインダストリアルミュージックからの影響を明かしています。

■ FACT mix 96: Gatekeeper （Fact Magazine）

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