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2010年01月20日 09:05
初CD化!The RAH Bandの80年代エレクトロアルバム3枚
「Clouds Across The Moon」でおなじみ、シンセポップの金字塔。「Rah Band」「Going Up」「Mystery」の3枚。
The RAH Bandはストリングスのアレンジャーとして60年代から活躍するRichard Anthony Hewsonというイギリス人の一人バンド。RAHは名前の頭文字です。アレンジャーとしての仕事で一番有名なのはビートルズのアルバム「Let It Be」で、「The Long and Winding Road」「I Me Mine」「Across the Universe」が彼の手によるものです。他にもJigsaw「Sky High」なんかも彼の仕事です(→YouTube)。
そんな彼が、雇われアレンジャー仕事で感じていた欲求不満のはけ口として自宅のスタジオでスタートさせたプロジェクトが、このThe RAH Bandです。The RAH Bandの名前で80年代にリリースされたソロ作品の数々というのが、一流アレンジャーのテクニックを電子楽器に注ぎこんで作り上げられた、素晴らしく美しいエレクトロ・ソウルなのです。
聴きようによっては早朝の天気予報のBGMのようですが、聴きようによってはファンキーなムキ出しドラムマシンやユーモラスなシンセの音に彩られた、そのぎこちなさが魅力的なキャンディポップの宝石です。The RAH Bandのほとんどの曲で聴けるキュートな女性の歌声は奥さんのものです。
日本では90年代に砂原良徳がアルバム「クロスオーヴァー」で「Clouds Across The Moon」をカバーしたことで有名になり、一方でレアグルーヴやモンドミュージックの文脈での評価も高まり、小山田圭吾のトラットリアからベスト盤がリリースされました(→そのライナーノーツ)。世界的にもベスト盤は何度かリリースされていますが、ほとんどのオリジナルアルバムはCD化されず、アナログ盤の入手も困難でした。それが、このたび日本で80年代の3枚のアルバム「Rah Band」(1980年)「Going Up」(1982年)「Mystery」(1985年)が初CD化されます。発売日は1月27日。
海外では?と思って調べると、やはりCD化は無いようで、今回の再発は日本独自企画のようです。しかし、2008年末くらいから今回再発される3枚のアルバムを含む全アルバムがiTunesStoreなどの世界中の主要音楽配信サイトで入手可能になっていて、すでに日本のiTunesStoreでも入手可能でした(→iTunesStore)。こういうものをCDで再発するビジネスは、もう日本でしか成立しないということなのかもしれません。CDに残された最後の楽園というべきか、最後の砦というべきか。「Blu-spec CD」という方式のCDでリリースされます(→Blu-spec CDについての記事)。
自分がThe RAH Bandで一番好きな曲は「Sweet Forbidden」です。曲の始まり方!ドラム!歌声!間奏!キラキラシンセ!エフェクト!切ないメロディ! この曲は今現在はiTunesStoreに登録されてません。なんともったいない。過去に出たほぼ全てのベスト盤CDに入っているはずです。今のところ2004年のベスト盤の中古が一番安く入手可能だと思います(→Amazon)。
The RAH Bandは今でもマイペースに活動を続けていて、新曲も発表しています。
2009年の曲です。公式サイトを見ると(→Link)、FacebookやTwitterのアカウントもとってあったり、しっかりITに対応した活動をしています。御年66歳。
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News : 2010年01月20日 09:05
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