2010年11月22日 13:56

帰ってきたレディオボーイ / One Club - Matthew Herbert

One Club - Matthew Herbert「One」トリロジーの第二弾。

[音楽/レビュー]
タイトル : One Club
アーティスト : Matthew Herbert
レーベル : Accidental
リリース年 : 2010/11

マシュー・ハーバート「One」トリロジーの第二弾は、ドイツのクラブでのフィールドレコーディングを元にしたサンプリングミュージック。

■ LOUDインタビュー: Matthew Herbert(HMV)

クラブに向かうために車を運転しながら、“一体何をしよう?”って思ってたよ(笑)。会ったこともない600人と、“この水曜の夜に何ができるかな?”って。大きな意味では、みんなにノイズを出してもらって、それを録音しよう、とは思っていたけど、あとはすごくオープンっていうか、その場に任せようって思ってたね。それで、まずはただマイクを立てて、人が出すノイズを録音した。“隣にいる人にキスして”、とか、“自分が生まれた場所の名前を叫んで”とか、指示を出しながらね。あとは、曲を覚えてもらって、みんなで歌ってもらったりもした。

「One」トリロジーの第一弾「One One」が、普通の楽器を多用したのんびりムードの不思議ポップスだったのに対して、今作「One Club」はサンプラーが唸りを上げる凶悪なダンスミュージックです。「ジッ」とか「ザッ」とか「ボッ」とかの出所不明のノイズが、はっきりしたメロディーを形作るでもなく、祭ばやしのようなズンドコしたリズムを刻んでピーピーガーガーと暴れ回ります。ハーバート初期の名義「Radio Boy」や「Wishmountain」での作品を思い出させる、実に懐かしい原点回帰のインダストリアルなテクノサウンドです。

アルバムは、人が入ってくる前のクラブのノイズから始まって、最後はクラブから帰る人々の足音、会話、車の音で終わります。ほぼノイズのピーピーガーガーサウンドだけでリスナーを引っ張りに引っ張って、最後の曲「Kerstin Basler」で600人の大合唱とメロディアスなベースラインが解禁、「we are everything! we are everyone!」と一体感を高めたパーティーは一気に盛り上がってそのまま終了するという、ちょっと感動的な構成です。曲名はその時にクラブにいた人々の名前で、ハーバートはすべての曲が「ドキュメンタリー」であると表現しています。まさに良作のドキュメンタリー映画を見たときような、じわじわした感動を味わいました。クラブという場所のあり方を問いかける一枚です。

さて、「One」トリロジーのトリを飾る「One Pig」は来年初旬にリリース予定。

また「Life in a Day」という世界中の人々が2010年7月24日に撮影した動画を集めて作られるというドキュメンタリー映画(→Link)の音楽をハーバートが担当していて、その音楽のための素材提供をYouTubeで呼びかけています。監督はケヴィン・マクドナルド、制作はリドリー・スコットです。

「拍手の音」は十分に揃ったようで、追加で以下の音をリクエスト中です。

「寝てる音」「走ってる音」「ハミングの音」「呼吸の音」の4つ。ハーバートの歯並びについて大盛り上がりのYouTubeコメント欄に対して「すきっ歯なのは生まれつきだよ!ほっといてくれ!」のコメントが笑えます。

■ 関連サイト

Review : 2010年11月22日 13:56

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