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2010年12月07日 22:26
30周年を迎えたシンセ富裕層&貧困層 / Penthouse And Pavement (Special Edition) - Heaven 17
シンセポップ名盤のリマスターCD、未発表デモトラックCD、ドキュメンタリーDVDのセット。
ほどよくファンクやR&Bがまぶされた冷たいエレポップ。80年代UKニューウェーブの金字塔。リリースからの30周年を記念して、未発表のデモトラック集とドキュメンタリーDVDが付属して再発されました。
Human Leagueから脱退したMartyn WareとIan Craig Marshの2人が、カメラマンの旧友Glenn GregoryをボーカリストとしてスカウトしてスタートさせたのがHeaven 17(グループ名は「時計じかけのオレンジ」からの引用)。そのファーストアルバムがこの「Penthouse And Pavement」です。Human LeagueとHeaven 17は分裂した後もシェフィールドの同じスタジオを共有していて、昼にはHuman League、夜にはHeaven 17と住み分けていたそうです。「Penthouse And Pavement」と同時期にHuman Leagueが作っていたのは、大ヒット作の「Dare」。両作品に鳴り響く歴史的リンドラムの音は、同一のリンドラムから鳴らされていたのかもしれません。
さて、この3枚組の再発について1枚ずつ紹介。
1枚目は「Penthouse And Pavement」のリマスターCD。2006年のデジタルリマスター再発と同じ音源です。ボーナストラックは「I'm Your Money (12'' Extended Version)」「Are Everything (12'' Version) 」「Decline Of The West」の3曲。
2枚目は「Lost Demos 1980」と題されたアウトテイク集。新たに発見されたという「Penthouse And Pavement」のデモテープや、Human LeagueともHeaven 17ともつかない時期に録音された電子楽器の実験トラックなどが全20曲収録されています。やはり目玉は「Penthouse And Pavement」のデモトラック群で、リリースされたアルバムではリンドラム化していた楽曲が、デモ版ではHuman League時代のようなシンセ製の電子ドラム音で鳴らされていてとても面白いです。シンプルな電子ドラムのビートに乗ってスタジオミュージシャンがファンキーなギターとベースを演奏しまくる「Play To Win」のデモが特に素晴らしいです。
3枚目は「The Story Of Penthouse And Pavement」という2010年制作のドキュメンタリー。明記は無いのですが、おそらくこれはイギリスBBCで今年5月に放送された番組と同内容のものだと思います(→Link)。演奏シーンはあまり多くなく、Martyn WareとGlenn Gregoryが故郷シェフィールドの街を巡りながらアルバム製作時の思い出を語り合う、というような内容です(日本語字幕なし)。この3枚セットをこの映像目当てで買うほどのものでは無いような気がしますが、どんよりとした工業都市シェフィールドの重厚な風景には心ときめきます。
なかなかパッケージがしっかりしていて、プラケースではなくて紙製の小箱です。3枚のディスクは紙ジャケで収納、このアルバムからのシングル盤のジャケットを模したカードが5枚、ブックレット、そして実は一番の目玉、アルバムカバーのイラストが大きくデザインされたポスターが付属しています(70cm × 48cm)。80年代初頭のヤッピームーブメントをおちょくった素晴らしいイラストです。これはしっかり額に入れて部屋の壁に飾りたい。
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Review : 2010年12月07日 22:26
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