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2011年01月21日 12:35
堀江貴文の映画を作るのは誰だ / ソーシャル・ネットワーク
「正しいのは服装だけ」。
大手SNSサイトFacebookの創設時の舞台裏を、創業者マーク・ザッカーバーグを中心に描いた映画です。
ネット最大のコミュニケーションの場を作ったのはコミュニケーションが苦手な人でした、という話。裁判を軸にして話が各所に飛んでいく構成で、編集がとてもテンポよく、加えてセリフの面白さでグイグイ引っ張られて最後までまったく飽きることなく楽しみました。
しかし、見ていて残念に思ったのは、これが堀江貴文や孫正義の話だったらもっと面白しく感じただろうな、ということです。アメリカの人達はそういう感覚でこの映画を見て、自分の所属する社会を描いた作品として熱中したのではないでしょうか。日本で生まれ育った者としては、アメリカの大学での社交クラブ文化や階級社会の仕組み、自分の使っていないSNS誕生の裏側に、自分を投影させて何かを感じることはできても、さすがに自分自身の問題のような切迫した関心は抱けませんでした。
そういう点で、実際の未解決連続殺人事件を描いたデビッド・フィンチャー監督の「ゾディアック」を見た時と似た感触を感じました。「これ実際の出来事なんでしょ?すごいなー、映画としてもメチャクチャ面白いし。でも…正直この出来事にそこまで興味ないわ、ごめん」という感じ。2000年代の日本IT企業の裏側を描いた重厚な社会派映画なら是非とも見てみたいです。デビッド・フィンチャー監督で。
ナップスターの創業者役でジャスティン・ティンバーレイクが出演していて、ネジの外れたIT長者を見事に演じています。ジャスティン・ティンバーレイクは最近すっかり映画業界でひっぱりだこで、このまま映画の人になって音楽に戻ってこないんじゃないかと心配です。
音楽担当はNine Inch Nailsのトレント・レズナー。初の本格的な映画音楽制作で、これが期待に違わぬ素晴らしい仕事をしています。NINでやっていたことと何も変わっていません。NINのアルバムに初期からずっと何曲か入っているインタールード曲のようなインスト曲をそのまんまやっています。
色気のない電子音のリズムに、エコーの効いたピアノの奏でる繊細な旋律、汚いギター。デビッド・フィンチャー監督の次作「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」でも音楽を担当するとのことで、今後トレント・レズナーは映画音楽の人になってしまいそうです。個人的には大歓迎です。
Review : 2011年01月21日 12:35
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