2011年02月10日 10:11

ガレージパンクバンドのデトロイトテクノカバー集 / Party Store - The Dirtbombs

Party Store - The Dirtbombsカール・クレイグが参加。

[音楽/レビュー]
タイトル : Party Store
アーティスト : The Dirtbombs
レーベル : In The Red
リリース年 : 2010/2

デトロイトのガレージパンクバンドThe Dirtbombsが、80-90年代のデトロイトテクノ名曲のカバーアルバムをリリース。取り上げられているアーティストは、Cybotron、Inner City、Derrick May、Innerzone Orchestra、Underground Resistanceなど。

このアルバムの前にリリースした「Ultraglide in Black」というアルバムが60-70年代のソウルミュージックのカバー集だったとかで、それがなかなか好評だったのに気を良くしてか、さぁ次何やろうかと白羽の矢が立ったのが80-90年代のデトロイトテクノ。わかりやすい。そこそこ今風な渋いディスコロックとかダンスロック的なものに仕上がってるのかと思いきや、これが予想の斜め上を行く珍妙な、いや、オリジナリティを感じる内容で、思わず何回もリピートして聴いてしまっています。


そもそもこのバンドはガレージロック系の音を出すバンドなので、まぁ率直に言えば、演奏が荒っぽい。その演奏でリズムのカッチリしたテクノをカバーするので、どうにもリズムがギクシャクとしていて落ち着きません。それを味といっていいのかわかりませんが、80年代ポストパンク的な妙なグルーヴ感が出ています。

また、元曲は当然シンセやドラムマシンの音なので、それをスタジオ技術に頼らずにバンドで表現しようとなると、どうしてもアレンジには大胆な解釈が必要です。例えば「Strings of Life」なんかは、あのピアノとシンセのハーモニーの繊細な部分がザックリと削ぎ落とされていて、カバーと言われてもよくわからない悲惨な有様なのですが、惨事がおこっているのは「Strings of Life」くらいで、他の曲は意外にも違和感はさほど大きくありませんでした。元曲にできる限り忠実であろうとする誠実なデトロイトテクノの解釈には好感が持てます。

圧巻なのは、22分もある「Bug In The Bass Bin」です。オリジナルは元祖フューチャー・ジャズとも言うべき雰囲気を持ったCarl Craigの曲で、このカバーでは、なんともドタバタとしたパワフルなロックドラムと、頭に電極が突き刺さっているような奇怪なギターが、壮絶なバトルを延々と繰り広げます。Funkadelic状態です。そこに、どういう繋がりなのか、なんとCarl Craigご本人がステージ後ろの大階段から颯爽と登場、モジュラーシンセサイザーのコズミックなノイズで2人のバトルに油を注ぎます。さぁ、デトロイトの廃墟街が燃え上がってまいりました。

最後のトラックは「謎 のミスタ-ナイソ (Detoroito Mix)」という謎の日本語タイトルのオリジナル曲で、アルバム唯一の打ち込み曲です。なぜ日本語なのか、なぜナイソなのか、なぜ打ち込みなのか、頑張って調べましたがまったく謎です。さすがデトロイトの人は今も昔も一筋縄ではいきません。

Kyle Hall, Omar SらによるリミックスがSoundcloudで配布されています(→Soundcloud)。

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Review : 2011年02月10日 10:11

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