2011年11月01日 11:33

「ダンス音楽はバカでも作れる」のノエル・ギャラガーが大絶賛のテクノ3曲

「今はどんなバカでもダンスミュージックを作れる」。

元オアシスのノエル・ギャラガー(兄担当)がソロアルバム「Noel Gallagher's High Flying Birds」のリリースに合わせてYouTubeに自分語りの動画を複数投稿していて、その中のひとつがダンスミュージックをこき下ろしている内容だということで話題となっています。

■ Noel Gallagher: 'Any fucker can make dance music now'(NME)

ニュース拡散のもとになったNMEの記事が「ノエル・ギャラガー:今はどんなバカでもダンスミュージックを作れる」というなかなかパンチのあるタイトルなので、「ビートルズをパクってるだけのお前が言うな」的な反応から「そのとおり!ダンス音楽はゴミ」的な反応まで、世界各国の言葉でいろいろと語気荒く吹き荒れております。

ところが、記事タイトルに惑わされずに内容を読んで聞いてみると、これが単なるダンスミュージックのこき下ろしではなく、実体験に基づいたなかなか面白い考察になっていて、自分は共感できる部分が多かったです。拙訳。

87年からオアシスを結成する91年までの毎晩、俺はハシエンダ(注:ファクトリー・レコードがマンチェスターで経営していたクラブ)に居た。それは俺の生活の一部だったし、大好きだった。当時のダンスミュージック、原始的なフォームの…俺はイビザに12年も家を持ってたけど、ある年にまったく変わってしまったと感じた。機材で何をやっているのか誰もわからないような状況から、誰かが機材をマスターするようになって、機材メーカーが人々が簡単に使えるものを作るようになった。今のダンスミュージックは公園を散歩するような音になった。どんなバカにでもできるし、正直に言って、すべてのバカがやってるよ。

ここまでしかNMEには書き起こされていないのですが、元の動画を頑張って聞いてみると、ノエルはバカ発言の直後に「80年代後半にはこんな素晴らしいダンスミュージックがあった。歌詞は無く、あるのは音楽と感情だけ」と、3曲のテクノ・アシッドハウスの名曲をあげて絶賛しています。それが下の3曲。

■ 808 State - Pacific State
■ Rhythim Is Rhythim - Strings of Life
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■ A Guy Called Gerald - Voodoo Ray

どんだけハシエンダが好きなんや、という3曲のセレクションです。80年代末にイギリスで起こったセカンドサマー・オブ・ラブに相当入れ込んでいたのでしょう。上の「ハシエンダが生活の一部だった」という発言も意外でしたが、こんな3曲の名前がオアシスの人の口から絶賛の言葉とともに出てこようとは、正直言って驚きました。マンチェスター出身とはいえ。ちなみにA Guy Called Geraldの「Voodoo Ray」はオアシスの弟担当リアム・ギャラガーのバンドBeady EyeがMixcloudに公開しているミックステープの中にも収録されています(→Mixcloud)。

「ロックが壁にぶち当たり、エレクトロニックなダンスミュージック革命は起こるべくして起こった。しかし今のダンスミュージックはクソが多すぎる。次は何が出てくるか楽しみだ」とまとめて動画は終わっています。発言全体のトーンを見ると、ロックバカのダンスミュージック批判というよりも、懐古オヤジの歪んだダンスミュージック愛という感じです。確かにどんなバカでもダンスミュージックを作ることはできますが、上の3曲のような「格好いい」ダンスミュージックを作るのは今も昔も難しいまんまです。

ノエルは先日リリースされたソロデビューアルバムに続いて、テクノユニットAmorphous Androgynous(ハシエンダ時代から活動するFuture Sound Of Londonの別名義)とのコラボレーションアルバムを製作中との報道があります。Amorphous Androgynousはオアシスの2009年のシングル「Falling Down」で壮絶なリミックスをやっていて(再生時間22分!)、これがメチャクチャ素晴らしかったので、ノエルの考える「ダンスミュージックの次」に期待大であります。

■ 関連サイト

Text : 2011年11月01日 11:33

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