« テクノ名曲夜話:いま明かされるThe Orb「Little Fluffy Clouds」誕生秘話 | メイン | Analordで産湯をつかったRDJ塾の優等生 / Welcome - Dave Monolith »
2012年01月18日 11:06
1995年のルーク・ヴァイバート / Back On Time - Plug
ちょっとゴソゴソするアルよ。
ルーク・ヴァイバートが1995-98年に作ったPlug名義の未発表ドラムンベース全10曲。
ルーク・ヴァイバートはPlug名義以外でも、Wagon ChristやLuke Vibert、最近だとAmen Andrews名義でドラムンベース/ジャングルの曲をリリースしていますが、Plugのコンセプトなのか、昔の機材環境だからなのか、Plugの音は他の名義でのドラムンベースとは少々おもむきが異なっています。インチキっぽい上品さとノスタルジー。ラウンジ音楽やライブラリー音楽のようなホテルのロビー感満載のサンプルネタで作られた、まさにパパのためのドラムンベース、手品師のティータイムジャングルです。このアルバム「Back On Time」の音は当時の音そのまんまです。
アルバム「Drum N’ Bass For Papa」リリースが1996年ですから、もう16年も経つのですか。1995年のPlugのデビューEP「Plug 1」(→bleep)を聴いた時は、それはもう衝撃的で「なんじゃこりゃ!」とぶっ飛んだものです。ReinforcedやMoving Shadowなど、レイブやテクノと地続きだった当時流行していたジャングルとは全然違う音でした。レゲエの痕跡もなく、ダンスフロアへの意識も低く、その代わりに入っているのはサンプラー製のユーモア。この「Back On Time」を聴いて当時受けた衝撃を生々しく思い出し、ドラムンベースの歴史を考える上でPlugの存在が欠かせないものであることを再認識しました。
higher-frequencyとHMVのサイトに載っているルーク・ヴァイバートのインタビューに、当時の面白いエピソードがたくさんあったので少し引用。
■ Plug Interview(higher-frequency)
ジャングルを作り始めた当時、Aphex Twin や μ-ziq みたいな僕の友達は、「ジャングルなんて幼稚だ」って馬鹿にしていたんだ。レイヴ・ミュージックみたいだし、子供っぽい音楽だってね。けど僕は、ジャングルのファンキーな部分が好きだったから作り続けていて。98年くらいになると、ジャングルもだいぶ定着してきたから、Aphex Twin とかも「ジャングルっていいよね」って言い始めたけど(笑)。
僕の父のためにミックステープを作ったことがあったんだよね。“Drum N’ Bass for Papa” っていうタイトルで。それを Plug のアルバムを作るときに思い出してピッタリだと思ったんだ。なぜかと言うと、Plug のドラムンベースは、若い子向けというよりは大人びた感じがあるからね。大人向けのドラムンベースっていう意味も込めて、“Drum N’ Bass for Papa” って付けたんだよ。
■ HMVインタビュー: PLUG(HMV)
Aphexは閉鎖された古い銀行だったビルをロンドンで買って住んでいた。何フロアもある彼の家に皆でよく遊びに行っていたんだ。でも次第に皆他へ引っ越したり、子供ができたりして、バラバラになっていった。今では皆変わってしまった。95年、、、、まだ僕は23歳だったから、今よりずっと若かったよ。(笑)
最後のは藤子不二雄の短編「劇画オバQ」を思わせるホロ苦いエピソードです。
ちなみに、ジャケット写真の手品師はルーク・ヴァイバートの実のおじいさんだそうで、地元で有名な手品師だったとか。今作の内ジャケットでは、おじいさんの別の一面が明らかにされています。
Review : 2012年01月18日 11:06
ブックマーク
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL :
http://www.spotlight-jp.com/matsutake/mt/mt-tb.cgi/577