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2012年07月30日 16:23
嗚呼、時代の徒花ファンク「Go-Go」の素晴らしき世界 / Go Go Get Down Compiled By Joey Negro
「Pure Ghetto Funk from Wasington DC」。
80年代に流行したワシントンDC発のファンク「Go-Go」を網羅したCD2枚組全24曲のコンピレーションアルバムがJoey NegroのレーベルZ recordsからリリース。
Go-Goは大好きなのですが、何枚か定番アルバムを聴いている程度で、それ以上深く入り込みたくても入手困難な音源が多く、CD化もされていなかったり、CD化されていてもやたら音質が悪かったり、廃盤で入手困難だったり(たとえばTrouble Funkの名作「Drop The Bomb」はアマゾンで5000円とか8000円とか →Amazon)と、興味を先に進めることが出来なかったのですが、ここに来て素晴らしいコンピレーション盤が登場しました。定番どころのアーティストの大部分が押さえられていて、音質のほうもしっかりリマスタリングされていてバッチリでした。
Go-Goとは、アメリカの首都ワシントンDCで生まれたパーティーファンクで、ドラムのビートはスイングしていて、様々なパーカッションやアニメの効果音のようなシンセ音が鳴り、ジャズからの影響も、というような音楽です。このコンピで聴ける曲には、いかにもGo-Goというものもあれば、普通のファンクとの境界線が曖昧なものもあって、先に書いたような音楽のスタイル以上に、延々と同じビートをノンストップで演奏し続けて、客とコール&レスポンスして一緒に盛り上げていくGo-GoのライブスタイルこそがGo-Goの核心なのかなと思いました。下の動画はコンピにも収録されているバンド、Rare Essenceの87年のライブ。
「Go-Go」という名前やジャンルの起源について、このCDのブックレットでは、先日亡くなったばかりのChuck BrownがワシントンDCでのライブで、曲の演奏が終わると客がトイレやタバコのためにダンスフロアを離れてしまって閑散とするのを見て、ドラマーに「Go Go」と演奏を続けさせたところ、ビートの鳴ってる間は客が踊り続けることを発見し、それ以降ビートを止めずにライブをするようになったのに由来していて、それがGo-Go誕生の瞬間だ、とコンピに曲が収録されているバンドStatic Disruptorsのメンバーが証言しています。
80年代中期になると、イギリスのIsland Recordsの社長がGo-Goのシーンに惚れ込んでイギリスに紹介し、ローカルな音楽ムーブメントだったGo-Goにブレイクの兆しが見えてきます。70年代に映画「ハーダー・ゼイ・カム」が世界にレゲエを紹介したのにならって、Go-Goの映画を作ってシーン全体を売り込もうとIsland Recordsは頑張るわけですが、その結果出来上がった映画「Good To Go」(なぜか主演はアート・ガーファンクル)は相当な駄作らしく(未見)、興行的にも大失敗、そしてIsland Recordsから世界へ向けてリリースされたGo-Goアーティスト達のアルバムは不発に終わり、Go-GoはヒップホップやR&Bに大きな影響を与えながらも、再び地下へと戻っていったのです…。
と、このような哀愁ただようGo-Goシーンの歴史や、当時の思い出話(DCつながりでTrouble FunkとMinor Threatが一緒にライブをやった等)、収録バンドの解説などがブックレットに書かれていて、Go-Go入門に最適な内容でした。コンピを編纂したJoey Negroからの「Go-Goのコンピを作ったで。音楽ファンなら大喜びやろ。めっちゃレアな曲も入れといたで」というようなユルいメッセージも。
さて、音楽ジャンルの紹介といえばBBC、ということで、やっぱりYouTubeに全部あったBBCの1986年制作(!)のドキュメンタリー番組「Welcome to the Go-Go」を貼っておきます。案内役の人のアラレちゃん帽子に心震えます。
Review : 2012年07月30日 16:23
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