matsu & take

先週末にA Guy Called GeraldとGraham Massey、つまり元808 Stateと現808 Stateの2人が再びタッグを組んでロンドンでライブをやったそうです。

音や動画を探しましたが、まだ発見できず。その代わりにライブの様子を撮影した写真がオフィシャルに公開されています。

909、808、303、101など、あの時代のRolandのアナログ機材がずらっと並んでいて、音がなくても気分が盛り上がります。Graham Massey曰く「クリシェ（常套句）は使わない」とのことですが、じゃぁ一体どういう音になっているのか、とても気になります。

そして、ライブのタイトル（ユニット名？）は「Rebuild Live Acid Jam」。 A Guy Called Gerald在籍時代に808 Stateがリリースしたアルバム「Newbuild」を連想させる名称です。残念ながら、2人で「Rebuild」的なコンセプトのレコードを作ることについては（まだ）考えていないそうです。

このライブ開催に合わせて、電子音楽系の音楽情報サイトAttack Magazineが、ライブ前の2人にインタビューしています。アシッドハウスの時代から現代まで生き抜いた二人の含蓄深い発言がたくさんあるのですが、「最近の若いプロデューサーが昔のレコードのサウンドををコピーしようとしているのをどう思いますか？」という質問に対するA Guy Called Geraldの回答の部分が特に印象に残ったので、そこだけを雑に訳しました。

■ A GUY CALLED GERALD & GRAHAM MASSEY（Attack Magazine）

What do you think of young producers wanting to copy the sounds from old records?

どういう理由なのかわからないが、オールドスクールなものが良いサウンドだという印象を持ったんだろうな。俺はアナログシンセからサンプラーのデジタル機器を通って、コンピューターまで、すべての道を通ってきた。古いアナログ機材を使えば自動的に良い音が鳴るという考えの人々には全く賛同できない。こういう機材を使う秘密のひとつは、自分だけの個性的なサウンドを作るということにある。古いアナログ機材のスイッチを入れてプレイを押しただけでオールドスクールなアーティストの気分になってる若いキッズがいるように思える。

8000ポンドを払ってTRシリーズなどの古いRolandの機材を全て手に入れた男のことを知っている。お買得だと思ったんだろうな。そいつのところにいって音を聴いてみたが、クソのような音だった。「ノイズの山を作っている！」って感じだ。あの時代のような音は鳴らない。昔を振り返ると、俺が刺激を受けたのは、シンセを使って本物の生きた音を鳴らそうとしていた人々だ。波形をどのように形作るのか学ぶのは良い訓練だった。多くの若いプロデューサー達はこうした古いシンセを買ってコードを繋ぐだけでいいと考えているかのような印象を受ける。もう少し工夫しないといけない。

もし実際には値段ほどに価値の無いものに全財産を投じようとしているのなら、何か違うことをやるべきだ。俺はこうしたアナログのアシッドハウスのサウンドは全部聴き尽くしたような気がしている。当時はこんなことを夢想していた。「俺たちは今アシッドハウスをやっているが、2000年のサウンドはどんな感じなのだろうか？」。今までは、それは超新しくてクレイジーなサウンドだと思っていて、25歳になったアシッドハウスみたいな音では無いと思っていた。俺は今でもこの時代が過ぎ去るのを待っている。

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以上です。インタビュアーの人は果敢にもA Guy Called GeraldにDeadmau5との「ボタンプッシャー論争」（→記事）についても質問していて（Geraldさんの回答の語り出しは「Yeah… I think, er… I think」）、Geraldさんは「俺がライブをやるって言ったら本当にライブでやってるんだ」「手を空にかかげるんじゃなくて、本気で音楽を聴いて踊っていた時代のことを思い出す」などと語っていて、最近のダンスミュージックのライブへの違和感を表明しています。あの論争は「Rebuild」をやることにした1つのきっかけにはなっているのかもしれません。