2007年08月20日 23:02

わが闘争—不良青年は世界を目指す / 角川春樹

わが闘争—不良青年は世界を目指す角川書店元社長による半生記。

タイトル : わが闘争—不良青年は世界を目指す
著者 : 角川 春樹
出版社 : イースト・プレス
出版年 : 2005年

大都会の歩道橋に甲冑姿で座り込む男。元・角川書店社長、角川春樹氏の自叙伝。

全231ページ、一切の迷い無く「いかにオレが凄いか」だけを一直線に書き尽くした、ある意味痛快な読み物。出版は2005年で、ドラッグ関連での逮捕・服役を終えた直後に書かれており、獄中記としても読める。

こんなに次々と名言が飛び出す本も珍しい。「オレの魂はスサノオノミコト」「おれは神である」「自分は歩く神社」「台風はオレを避けて通る」「オレの俳句は松尾芭蕉を超えた」などなど、挙げればキリがない。

やはりUFOや精神世界については相当入れ込んでいるようで、30ページほどを費やして、自分の体験談を中心にじっくり書かれている。「オレ、パワーあるから周りの奴らもUFOだなんだしょっちゅう体験しちゃって。もう誰も驚かないよ」と威勢が良いが、彼の周囲の人物の証言が編集注として入っていて、「一度見たことがあるだけ」とか「長年の付き合いだけど一度も見たことが無い」など、切れ味が悪い。

他にも、「女遊びは修行みたいなもの。とっかえひっかえ相当やったが、愛した女は一人だけ」などと格好良くきまった後にも、周囲の人物の証言が編集注として入り、「あいつは趣味が悪い。目が悪いから。」などと散々。実に愛すべき人物だ。

かといって、たんなる電波さんの珍本ということではなく、兄弟・父との確執について書かれた部分には気が滅入るが、角川文庫や角川映画をいかに仕掛け、いかに成功させたか、明確な実績のある事項だけに、これらについて書かれた部分については純粋に勉強になった。だからこそ、上の名言の数々が俄然引き立つのです。

Review : 2007年08月20日 23:02

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