2011年09月01日 16:45

キャリアで最高のアルバムでしょう / Let England Shake - PJ Harvey

Let England Shake - PJ Harvey全英が揺れた。

[音楽/レビュー]
タイトル : Let England Shake
アーティスト : PJ Harvey
レーベル : Island
リリース年 : 2011/2

イギリスのシンガーソングライターPJ Harveyの8枚目のアルバム。

PJ Harveyはデビュー盤「Dry」からずっと好きで聴いてきたアーティストです。デビュー盤が一番好きで、最近は惰性で聴いてるような感覚もあったのですが、このアルバムも取り敢えず聴いとこうか、くらいの感じで聴き始めてみたら、これがとてつもなく素晴らしい。あらためてザーッと過去作を聴き返してみると、やはり「Dry」に勝るとも劣らぬ内容。思い出補正を抜いたら「Let England Shake」が勝ってます。

何が良いかといえば、音楽の幅が広がっていることに尽きます。まずPJ Harveyの歌い方のバリエーションがグッと広がっています。それに合わせるように曲のアレンジの幅が(しっかり統一感はありながら)広がっていて、投げっぱなし気味だった近作と違い、どの曲にもキャッチーなひっかかりが用意されています。制作は本人、元BadseedsのMick Harvey、長年の作曲パートナーJohn Parrish、Flood大先生、といういつもの布陣。曲のアレンジ&ミックスはとても柔らか。

歌詞も大きく変化しています。自分の内面をえぐり出したようなパーソナルな歌詞が、今作では一気に視点が広がって、国や社会、歴史に及んでいて、なかでも戦争をテーマにした曲が多く目につきます。単純に愛国や戦争反対を呼びかけるようなものではなく、もっと普遍的なものをPJ Harveyらしい言葉選びで表現していて、これがとても素晴らしい。

自分はこのアルバムがPJ Harveyのキャリアで最高のアルバムだと思うのですが、本人はこの次のアルバムこそ勝負作と考えているようで、「次のアルバムは完成するのに10年以上かかるかも」と言っています。10年間「Let England Shake」を聴いて待機することにします。

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Review : 2011年09月01日 16:45

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