2010年04月20日 17:14

イメルダ夫人 goes to ディスコ / Here Lies Love - David Byrne & Fatboy Slim

Here Lies Love - David Byrne & Fatboy Slim墓標「愛、ここに眠る」。

[音楽/レビュー]
タイトル : Here Lies Love
アーティスト : David Byrne & Fatboy Slim
レーベル : Todomundo/Nonesuch
リリース年 : 2010/4

「イメルダ・マルコス元フィリピン大統領夫人は、ディスコやクラブに行くのが好きだった」というニュース記事に興味をひかれたデヴィッド・バーンが、飲み友達のFatboy Slimを巻き込んで五年を費やして作り上げた、イメルダ夫人の人生で踊る、全22曲のコンセプトアルバム。

弦楽器が多く使われ、上品なムードが醸し出されているのは、イメルダ夫人の愛した70年代後半のディスコのイメージであり、バーンのイメルダ夫人へのイメージなのでしょう。それぞれの曲がイメルダ夫人、その付き人、マルコス大統領など、貧しい田舎で生まれてマニラに移住、マルコス大統領と結婚、そして宮殿から追い出されるまで、イメルダ夫人の人生に登場するさまざまな人物の視点から歌われます。

もっとミュージカルミュージカルした「心配ないさ〜」といった感じの仰々しい作品かと思いきや、蓋を開ければファンキーなポップスの小品集でした(上の動画のタイトル曲「Here Lies Love」が一番ミュージカルっぽい)。ミュージカルに発展させるアイディアもあったものの、違和感があったので途中でやめて、曲それぞれがストーリーを語るような形式のCDアルバムを作ることになった、とブックレットでデヴィッド・バーンが説明しています。また、音楽のダウンロード販売が一般的になって、アルバム収録曲がバラ売りされるようになり、「アルバムが死んでしまった」現状に対して思うところもあって、アルバム内の曲が互いに影響を及ぼし合う、こういった形式のアルバムを作ることに意識的になったようです。

バーンが歌うのはたった2曲だけで、残りの曲はCyndi Lauper、Santigold、Róisín Murphy、Tori Amos、Kate Pierson(B-52's)など豪華なゲストボーカル達が歌います。バーンが歌っていないことで「普通」な印象を受ける曲があるのは、良し悪し分かれるところでしょう。B-52'sのKate Piersonがやたら元気よくて、1948年生まれの62歳!とはとても思えないノドの張りにMVPを進呈します。

アルバム作者のクレジットはDavid Byrne & Fatboy Slim。&扱いでバーンと肩を並べているノーマン・クック、確かにFatboy Slimらしさのよく出た楽しげな現代的ダンスミュージックなのですが、バーンのアイデア実現をサウンド面からサポートするような役回りだったのか、Fatboy Slimが前にしゃしゃり出てきて個性を暴走させるような場面は、残念ながらありません。とはいえ、ノーマン・クックが固めた足場の上でデヴィッド・バーンが自由に作ったダンスアルバム、というスタンスで受け止めると、いかにもバーン節なエスニックなファンクがCD2枚にギッチリ詰まっているのは、たいへんに魅力的です。なんだかんだでデヴィッド・バーン本人が歌っているTB-303ファンク「American Troglodyte」がアクが強くて一番かっこ良かったです。

Review : 2010年04月20日 17:14

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