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2010年09月19日 05:47
デヴィッド・リンチへの公開ラブレター / Into The Great Wide Yonder - Trentemøller
トレンテモラー?トレントモラー?トレンドゥムラー?
デンマーク・テクノ界の星、Trentemøller(いまだに何と読むのかわからない)さん2枚目のアルバム。新設された自分のレーベルから。
他人の曲をリミックスさせれば100%間違いなしのエレクトロ+ミニマル+ロック的ダンストラックに仕上げるのに、これが自分の作品となるとウジウジやってしまうのはデビューアルバム「The Last Resort」でも同じことでした。今回はさらに深く内省的。「そろそろ本腰入れてダンスアルバム作ってくれよ」という声は本人の耳にイヤというほど届いているであろうに、それでもこちらに踏み込んでしまうというのは、作家意識の並々ならぬ強さゆえでしょう。さすが自分の音に納得できずに一時期音楽辞めて幼稚園で働いていたという前歴の持ち主です。
クラブっぽさをほとんど感じさせないロックドラムに、トレモロアームをたっぷりとウネウネさせた「ジャラ〜〜ン」というデヴィッド・リンチ的ギター。「....Even Though You're With Another Girl」のPVもほんのりリンチ風ですし、XLR8Rで公開されているDJmix(→Link)にもリンチ関連曲が複数入っています。リンチをインスピレーションに、映像的なイメージを作品に投影させたのか、今作には生っぽいストリングが多く導入されていて、サウンドトラック的な響きがあります。「映画業界の皆さん、私にサウンドトラックを任せてみませんか」という営業アピールを感じとってしまうのは意地悪な聴き方かもしれませんが、実際そうなれば素敵なことです。
細部まで徹底的に配慮された緻密な音が鳴っています。エッジの効いたベースラインやデジタルエディットを期待するクラブ界隈の住人よりも、Massive AttackとかFour Tetとかを聴いているような、ロック系とクラブ系の中間層の住人のほうがストレートに受け止められるようなサウンドです。最近のシューゲイザーリバイバルとの共鳴も感じられます。下の曲はアルバムの中の数少ないアッパーな曲。やはりこれもストレートなクラブトラックとは言い難く、サーフロックです。
こんな大きなところで大掛かりなセットを作ってライブやってるとは驚きです。ステージにはダンサーっぽい人も大量に居て、金のかかり方が尋常じゃありません。「もうダンスフロアには興味ない」というような発言をしているという情報もあって、かといってMoby路線でロックスターを目指す人には思えないですし、サウンドトラック方面ってのは確かにありそうな話です。果たして彼の想いはリンチの耳まで届くのか。
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Review : 2010年09月19日 05:47
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