2009年12月22日 09:48

Primary Colours - The Horrors

Primary Colours - The HorrorsプロデュースはPortisheadのGeoff BarrowとChris Cunningham。

[音楽/レビュー]
タイトル : Primary Colours
アーティスト : The Horrors
レーベル : XL Recordings
リリース年 : 2009/5

イギリスのガレージパンクバンド、The Horrorsの2枚目のアルバム。自分の興味の範疇から外れたワン・オブ・ゼムなパンクバンドだと思ってノーマークでしたが、これをなぜかPortisheadのGeoff Barrowが本腰を入れてプロデュースしているというので聴いてみると、メチャクチャ格好いいサイケデリックロックでした。

別バンド「Beak>」や、先のアムネスティーでのチャリティーMP3曲(→記事)にわかりやすく現れていた、最近のGeoff Barrowのテイストであるクラウトロック的サウンドと、The Horrorsの個性であるガレージロック的荒っぽさやJoy Division的なダークで湿っぽいニューウェーブ感覚が、それぞれ見事に相互作用しあって、四方八方にギラギラの極彩色の原色(Primary Colours)サウンドを放っています。

早朝の墓地にかかる濃霧のようなシンセのテクスチャも絶妙なのですが、特にギターの音色のブっ飛び方が素晴らしくて、リバーブやディレイ、ピッチシフターなど、恐らくはシンプルなギター用エフェクターの組み合わせだと思うのですが、音色やメロディーのゆらぎ・歪みの質感がとても面白く、表情豊かです。ギターやシンセでシューゲイザー的な轟音の壁が築かれてはいるものの、基本的に音の数自体はとても少なくて、シンセの音色もしっかり制限されており、全体によく整理されています。このあたりはヒップホップで培った引き算のセンスを持つプロデューサーの手腕でしょう。ミックスも彼が担当しています。

もう一人のプロデューサーChris Cunningham、もちろんAphex Twinとの仕事でおなじみの映像作家です。彼がプロデュースした2曲「Three Decades」「Primary Colours」は、ともに少しリバーブをかけすぎのガレージパンクですが、足場の無いフワフワしたサイケデリック感は超一級品です。当然ビデオも彼が作るのだろうと思ったら、今のところアルバムから4曲のビデオが作られているようですが、まだChris Cunninghamの監督した作品はありません。過去にChris CunninghamはThe Horrorsのデビューアルバム「Strange House」からのファーストシングル「Sheena Is A Parasite」のビデオを監督しています。内容は最高です。

ちなみに、上の上に貼った「Sea Within a Sea」と「Who Can Say」のビデオの監督は、The Jesus and Mary ChainのベーシストだったDouglas Hartです。

自分が2009年に聴いたロックアルバムの中では群を抜いてオリジナリティと勢いを感じた、その上、何度も聴ける作品です。

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Review : 2009年12月22日 09:48

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