2011年03月03日 08:56

祝・オスカー受賞「ソーシャル・ネットワーク」で活躍の電子楽器「Swarmatron」とは

Trent ReznorとAtticus Ross。

Swarmatron NINゴールデン・グローブに続いてアカデミー賞まで受賞してしまった映画「ソーシャル・ネットワーク」のサウンドトラック。「北斗の拳」の悪役みたいな格好をしてステージでシンセをブッ壊していた人が、今や蝶ネクタイの礼服に身を包んで金のオスカー像を携えているわけですから、今後何が起こっても驚かない免疫がつきました。

さて、その「ソーシャル・ネットワーク」のサウンドトラックの肝、大部分の曲の背景に聴こえる、昔のSF映画やホラー映画のようなブワーっとした持続する不思議な不協和音。これの正体は「Swarmatron」という電子楽器です。

■ The Musical Life : Swarm(The Newyorker)

You may have heard it, if not of it: Trent Reznor made prominent use of one on the soundtrack of “The Social Network,” the Facebook film. The DVD, out this week, includes a bonus segment in which Reznor talks about the Swarmatron’s “beehive-ish sound.” The sound of eight voices straining toward but not quite achieving a unity of pitch, the dissonance stretching like taffy, seems perfectly suited to these attenuated times.

この電子楽器Swarmatronは8つのオシレーター(発振器)を持っていて、同時に鳴らされる8音を2つのリボンコントローラーで演奏する仕組みです。リボンコントローラーを指で前後左右に押したり引いたりして操作するというアナログさが微妙な和音の揺らぎを生み出しています。映画「ソーシャル・ネットワーク」の中では、感情を顔に出さないザッカーバーグの内面を、揺らぐ電子音の不協和音でうまく表現して映像をサポートしています。

New York TimesがYouTubeに投稿したトレント・レズナーとアッティカ・ロスへのインタビュー動画の2:58のところでSwarmatronについて説明しています。

スタジオのいいところにしっかりとSwarmatronが置かれています。

Swarmatronはビンテージシンセではありません。開発したのはBrian DewanとLeon Dewanの従兄弟が2人で運営している小さな楽器メーカー「Dewanatron」。全ての楽器は兄弟の手作りで、もちろんトレント・レズナーのSwarmatronも2人が手作りしたものです。このメーカーの出しているSwarmatron以外の楽器もかなり独特で、レトロな外観も魅力的、アナログシンセ魂をガンガンに揺さぶる面白くて変わったものばかりです。

Swarmatronのお値段は3,250ドル、Melody Ginは2,400ドル、その他は要相談。デジタルなソフトシンセ全盛の今だからこそ、受注生産の手作りアナログシンセ。オスカー受賞のお墨付きです。いかがでしょう。

ついでに「ソーシャル・ネットワーク」音楽の余談、映画の中でNapsterのショーンがFacebookを初めて見るシーン、ここでNine Inch Nailsの既発曲「Ghosts I - 2」が流れるのですが、これはイメージ共有のために監督が仮であてていた曲なんだそうです。トレント・レズナーはこのイメージに従って新曲を作って提出したのですが、監督はそれをボツ、そのまま「Ghosts I - 2」が流れることになってしまい、トレント・レズナーは不満だとぼやいています。

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News : 2011年03月03日 08:56

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