2013年05月20日 08:38

リマスタリングで音質最高のデトロイト不思議テクノ / Journey Of The Deep Sea Dweller - Drexciya

Drexciya Journey Of The Deep Sea Dweller海人ぬ宝。

[音楽/レビュー]
タイトル : Journey Of The Deep Sea Dweller I - III
アーティスト : Drexciya
レーベル : Clone Classic Cuts
リリース年 : 2011-2013
試聴 : ■iTunes

James Stinson(2002年没)とGerald DonaldによるデトロイトのテクノユニットDrexciyaの90年代の作品をまとめたベスト盤3枚。レア盤を入手する財力も根気も無いので、ありがたくこのベスト盤シリーズを聴いてます。

2011年から年1枚のペースでリリースされてきたこのシリーズ、今年の1月に第3弾が出て、これでシリーズ完結という情報がある一方で、全4作の予定でリリースされているという情報もあって、どっちが正しいのかはよくわかりません。

3枚とも年代やレーベル(Underground Resistance、Submerge、Warpなど)をまんべんなく横断した選曲になっていて、どの盤が特にどうというような明確な選曲の色分けは感じられません。どこをどう聴いてもまんべんなくDrexciyaです。

自分はDrexciyaの活動中にリアルタイムでいくつかの作品を聴いてはいるのですが、正直言って当時はよく分からなくて、デトロイトテクノを期待して聴いても、当時の自分が期待していた「デトロイトテクノ」とは違う音が鳴っていて、エレクトロを期待して聴いても、当時の自分が期待していた「エレクトロ」とは違う音が鳴っていました。彼らの創作した深海についての物語に酔いしれたレビュー類は神格化を煽るばかりで、理解の助けにはならず。格好良いのか悪いのかすらよくわからないけど何か心にひっかかる不思議な音楽、という印象でした。

そんな自分がDrexciyaを楽しめるようになったきっかけは、Warpから出ていたElecktroids(1995年:→iTunes)名義とThe Other People Place(2001年:→iTunes)名義がDrexciyaのJames Stinsonの変名だったと知ったことです。どちらもリリース当時は誰の変名なのか伏せてリリースされていて、James Stinsonの死後数年たってから偶然ネットで情報を見るまでは、まったく繋がりに気付いてませんでした。

とはいっても、ElecktroidsとThe Other People Placeにしても、出た当時は「なんでWarpがこんな古臭いテクノを出してるんだろう?」と感じていたくらいで、どちらもリリースから何年かたってから聴き直して「あれ、これ最高かも?えっ、Drexciyaの人だったの?」という感じで、突然Drexciyaの曲がすんなり耳に入って来るようになりました。

目の前で楽器を操作しているかのような生々しさが感じられるのが不思議です。時間がたってから魅力に気付くことができたのは、デトロイトテクノやエレクトロといった固定観念から離れて聴き直したのが良かったような気がします。

今回のベスト盤はCloneによるリマスタリングが素晴らしくて、URやSubmergeからのオリジナル盤は意図なのか意図せずなのかムラのある荒っぽい音でしたが(それが良かったのにという意見もあるでしょうが)、今回の3枚は驚くほどきれいに整理されています。海底の墓場に眠る海の旅人も、この海洋深層水のごときクリアなサウンドに微笑んでおられるのではないでしょうか。

Review : 2013年05月20日 08:38

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