2013年07月11日 21:55

2人のテクノの巨人によるライブ感満載なミニマルダブ / Borderland - Juan Atkins & Moritz von Oswald

Borderland月刊(でやって欲しい)ボーダーランド。

[音楽/レビュー]
タイトル : Borderland
アーティスト : Juan Atkins & Moritz von Oswald
レーベル : Tresor
リリース年 : 2013/6
試聴 : ■iTunes

デトロイトでテクノを生み出したJuan Atkinsと、ベルリンでテクノを進化させたMoritz von Oswaldの2人によるコラボレーション・アルバム。

4つ打ちを繰り返すスッカスカのドラムマシンの音にド太い重低音ベースが加わり、各々の「らしさ」を感じられるシンセのフレーズがふんわりと漂ったり漂わなかったり、それにつられてドラムマシンの音も漂ったり漂わなかったり。ほぼ全曲がこんな感じで、かなりリラックスしたアルバムです。巨大なミキシングデスクを2人がチョコチョコと触っている姿が想像できるという意味で、かなりライブな質感があります。

どうしてもこの2人となると1992年の「Jazz Is the Teacher」(→YouTube)を引き合いに出したくなりますけど、今作は「Jazz Is the Teacher」とは少し違う音が鳴っています。それよりはJuan Atkinsのユニット、Model 500のセカンドアルバム「Deep Space」収録曲の「Starlight」なんかが「Borderland」の作風に近いのではないでしょうか。「Deep Space」のアルバム後半の曲は全部Moritz von Oswaldのスタジオで作られていて、彼がミキシングを担当しています。

今作は「Deep Space」の時と違って、2人が初めて対等の関係でコラボレーションしているので、これまでの2人の共作以上に、MaurizioらしさというかBasic Channelらしさというか、ミニマルでダブな感じが強く出ているように感じました。

「Borderland」の中で特に素晴らしい曲は、1曲目の「Electric Garden (Deep Jazz In The Garden Mix)」です。管楽器の音や生ドラムの音が少しだけ入っていて、それをミキシングの匠がエフェクトをかけたり引っ込めたりするという、ディープジャズの聴こえる電気の庭、とても美しい光景です。下のYouTubeの動画は10分で終わってますけど、アルバムではこの曲の11分あるダブバージョンが切れ目なく連続して入っていて、実に極楽です。

2008年にCarl Craig & Moritz von OswaldがリリースしたベルリンオーケストラのRecomposedアルバムを少し連想しました。アルバム全曲この路線ってのも聴いてみたいですが、なんにせよ、テクノの巨人2人の個性が見事に発揮されたこのアルバム、繰り返し何度も聴いています。

Review : 2013年07月11日 21:55

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