2015年05月08日 17:20

Aphex Twinとμ-Ziqの未発表曲大量公開祭の終焉についての覚え書き(追記あり)

all good things never last.

Aphex TwinがSoundCloudのアカウントuser48736353001で繰り広げていた未発表曲の大量公開祭が、どうやら終わってしまったようです(追記あり)。そして、時を同じくして、μ-ZiqのSoundCloudへの未発表曲の大量公開祭も、どうやら終わってしまったようです(追記あり)。

soundcloudd.jpgそれぞれの終了時の経緯について、覚えてることを書いておこうと思います。

まずAphex Twin。2月24日に「saw II un road shimmer f」を公開して以降、しばらく止まっていたuser48736353001のアップロードが再開されたのが4月27日頃。そこから5月5日にかけて32曲がアップされました。

終わりの始まりは、日本時間で5月6日の早朝。どんな理由があったのかよくわからないのですが、user48736353001がアカウント名を8user48736353001に変更しました。さらにその数時間後に、アカウント名を彼の誕生日にちなんだuser18081971に変更しました。そしてその直後(?)に突然すべての曲が消失しました。日本時間で5月8日の深夜1時頃です。

話はこれで終わりなのですが、アカウントuser48736353001をAphex Twinが手放した直後に誰かが乗っ取り、「Caustic Window」を名乗って既発曲を投稿したり、謎のYouTube動画(Chris Cunninghamを名乗る成りすましアカウントの動画 →YouTube)にリンクを張ったりと、思わせぶりな行動を取りました。これらのアカウント跡地を乗っ取った愉快犯の行動によって情報が掻き乱されて話がややこしくなっていますが、これらは(間違いなく)全部フェイクです。Aphex Twinは何のメッセージも残さずに消え去りました。

そしてμ-Ziqは、Aphex Twinの未発表曲公開に感化されて、mikepのアカウント名でSoundCloudに大量の未発表曲を公開していましたが、3月中旬頃にはアップロードが止まっていました。それが、Aphex TwinのSoundCloudからの消失の半日後に突然活動を再開。まず上に貼ったAphex Twin「D-scape」の μ-ZiqによるRemixを公開し、続けて4曲をアップロードしていきました。

問題は最後にアップロードされた曲で、タイトルは「Soundcloud not letting me upload any more」。意味は「もうSoundcloudはアップロードさせてくれない」で、曲の内容は2秒間の無音です。タグには「#soundcloud is shit」の言葉が入っています。他にメッセージはありませんが、2秒間の無音やタグの文字からは強い抗議の意図が感じられ、SoundCloudからの撤退宣言とも受け取れます(追記:この記事を書いている間にタイトルが「I'm old」に変更されて、タグが消去されました。撤退ではない?)。

2人がSoundCloudから消失・撤退したのとまったく同じタイミングで、関連があるのか単なる偶然なのか不明ですが、ソニーとSoundCloudの交渉が決裂して、ソニーが権利を持つAdele, Miguel, Kelly Clarkson, Passion Pit等のアーティストたちがSoundCloudから曲を取り下げています(→billboard)。

μ-Ziqのほうは、最後に「soundcloudはshitだ」とSoundCloudを非難して去って行きましたが、Aphex Twinのほうは、去り際にはSoundCloudに対して何のメッセージも発しておらず、とはいえ、以前からコメント欄では終始SoundCloudのことをわざとsoundclownと誤記し続け、動作が遅くて最低だとボロカスに貶していましたが、そういう不便があるところが却って面白いからsoundclownを使っている、というようなことを書いていました(当然コメント欄も全部削除されてしまったので、彼のコメントについては自分のあやふやな記憶で書いてます)。

実際、Aphex TwinはSoundCloudを楽しんでいたようで、特にコメント欄でファンと交流するのを楽しんでいる様子でした。アップロードを中断していた間もしばしばコメント欄に現れてはファンからの質問に素直に答え、アップロード再開以降は、ファンからの「このライブ動画の中でプレイしている曲を公開して」などのリクエストに気軽に応じたり、過去にDJでプレイしていた曲のタイトルを教えてあげたりしていました(下の曲)。

消失の数日前には、アカウントの説明欄に「みんなステキなコメントをありがとう。返信できなかったらごめんね。出来る限り全部読んでるよ」などと、昭和のアイドルのようなメッセージが書かれていたくらいです(そのメッセージにはピラミッドや古代文明がどうしたというような学研ムー的な動画と論文へのリンクが添えられていましたが)。

4月末にAphex Twinがアップロードを再開した時に気になったのは、それまでと違ってダウンロードを解禁しなかったことです。また、コメント欄に、SoundCloudでの未発表曲の公開に対して「スーツ」の人々とうまくいっていないようなことを書いていました。レコード会社、もしくは版権管理会社から何らかのプレッシャーがかけられていたものと思われます。そういったことが面倒になっていたところに、アカウント跡地占拠者の鬱陶しい行動があり、SoundCloudとの間に何らかの(μ-Ziqと同じ)出来事があり、衝動的にSoundCloudを止めてしまったのかもな、と自分は推測しましたが、真相は闇の中です。

もちろん祭が終わってしまったのは残念ですが、Aphex Twinとμ-Ziqの2人がSoundCloudを通じて発表した曲の総数は300曲以上です。1週間後か10年後かはわかりませんが、二人が再び未発表曲をジャンジャン公開してくれる日を待ちながら、それらの曲をじっくり楽しみたいと思います。

追記その1:2015/5/8

このブログ記事を投稿した1時間後にμ-Ziqが「Soundcloud not letting me upload any more」を削除して、新しい曲「Priez Nortmeier」を投稿しました(→Soundcloud)。Aphex Twinの消失と同日というタイミングでのμ-Ziqの動きに過剰反応してしまったようです。μ-Ziqは撤退ではありませんでした。お騒がせしました。

追記その2:2015/5/9

5月9日の早朝ごろにuser18081971のアカウントが完全に復帰しました(→Soundcloud)。このアカウントはAphex Twinが最後に移動していた場所です。アカウントの説明欄には「hallaj, im back」の言葉、コメント欄で復帰を喜ぶファンに対して「Hi !, sorry about that, had to do that im afraid.」と返信しています。

Text : 2015年05月08日 17:20

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