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2011年07月18日 11:04
作ってる時に聴いてたのはTalking Heads - McCartney II / Paul McCartney
フローズン・ジャパニーズ。
ポール・マッカートニーが1980年にリリースしたソロアルバム二作目がデラックス・エディション/スペシャル・エディションで再発。
異色作・珍品としてビートルズファンの間で低評価だったこのアルバム「McCartney II」ですが、今は時流に乗って「元祖チルウェイブ」という扱いで評価の高まっている(らしい)「McCartney II」です。いったい何が異色作で珍品なのかといえば、ポール・マッカートニーがシンセサイザーを大々的に導入、テクノ・ニューウェーブ的な音楽をやっています。1980年。
自分はビートルズやポール・マッカートニーに特別な思い入れが無いので「変なサウンドだけどいいメロディーのポップスアルバムだな」というくらいの感覚で楽しんで聴いています。デラックス・エディションに入ったシングルB面曲はさらに異色で、裏声ボーカルにダブエフェクトのかかった奇妙なブルース?レゲエ?「Check My Machine」や、電子音のアルペジオが浮遊する奇妙なテクノ?クラウトロック?「Secret Friend」など、日航のハッピを着ていたあのビートルズの人の作品だとは到底思えない音です。
とはいっても、とらえどころのない変な曲ばかりが入ってるわけではなく、「Coming Up」「Waterfalls」「Wonderful Christmastime」といった(おそらく)ビートルズファンも納得のポップスの宝石も入っています。
The Queitusというサイトで「McCartney II」再発に合わせてポール・マッカートニーへのインタビューが掲載されています。ミュージシャン数人がポールに質問をする内容で、面白い内容だったのでざっくり意訳して一部引用します。
■ McCartney II: Paul McCartney Interviewed By Other Artists (The Quietus)
Erol Alkan: このアルバムを作ってる時に気に入っていたのはどんなアーティストですか?
もちろんTalking Heads。David Byrneの風変わりなところが大好きだよ。とても魅力的。彼の非メインストリームな姿勢が好きだ。他にはJohn Cage, Luciano Berio, Cornelius Cardewなどを聴いていた。
Chris Carter(Throbbing Gristle): 'Temporary Secretary'はどんなシーケンサーとシンセの組み合わせで作ったんですか?
最近調べたからわかるよ。Arpのシーケンサーだね。
Gruff Rhys(Super Furry Animals): McCartney I と II の大ファンです。TLCの'Waterfall'にあなたの名前をクレジットすべきだと思います。個人的には好きなんですけど。カバーされるのはどういう気分ですか。TLCはどう思いますか。Left Eyeと会ったことありますか。質問3つもすいません…。
TLCのその曲については"Don't go chasing waterfalls"で始まるヒット曲があるってことしか知らないな。カバーされるのは嬉しいよ。
Alexis Taylor(Hot Chip): 昔から'Check My Machine'が大好きです。このグルーヴはどこから来たのですか?ボイスサンプルは何ですか?
サンプルは使ってない、生で歌ってるよ!それがこのアルバムの今のアルバムと違うクレイジーなところだね。今ならループで作る。'Check My Machine'は歌もドラムも全部自分。オールドスクール? 当時は他に方法が無かったんだよ。自分たちがニュースクールを発明したんだと思うよ。
DJのErol Alkanがズバリ影響を聞いています。ポールは他のインタビューでもこの「McCartney II」への影響について聞かれ、Talking Headsの名前を挙げています。言われてみれば「Coming Up」のギターとドラムの感じはTalking Headsを連想させる部分があります。このアルバムはポール・マッカートニー流のポストパンクといったところでしょうか。
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Review : 2011年07月18日 11:04
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