2008年10月17日 20:41

スティーブン・キングのランゴリアーズ

1996年にNHKで深夜2夜連続で放送されたテレビ映画が初DVD化。

[DVD]
タイトル : スティーブン・キングのランゴリアーズ(The Langoliers)
脚本・監督 : トム・ホランド
原作 : スティーブン・キング
上映時間 : 180分
出演者 : パトリシア・ウェティグ、デヴィッド・モース

テレビで見て以来、12年ぶりに見ました。あの時代のNHKは深夜に海外の単発ドラマとかミニシリーズとかの良作をよく放送してました。

▲ Stephen Kings: The Langoliers

基本的にアメリカでも2夜に分けて放送されたテレビドラマなので、やはり低予算。後半に登場するCGはとてつもなくショボい。むしろこの時代に、どう見てもプレステ1レベルのCGなのに、それでいってみようやってみようとなった製作陣の冒険心を評価したい。ネットで感想を見てると「CGがマリオペイントみたい」というのがあって笑いました。YouTubeにもその雄姿が沢山あがってるので見たい人は「Langoliers」で検索を。

ストーリーは、フライト中の飛行機、目が覚めると数人を残して乗客が消えていた、何故? という「LOST」の先駆け的で「トワイライトゾーン」の後継的なミステリアスなSFもの。「LOST」とは「飛行機」「失踪」というキーワードで強く繋がります。

とにかく前半の緊張感が凄い。一体何が起こっているのか、登場人物も見る側も全くわからない。管制官と連絡が取れない、地上の街に明かりが無い、食べ物が腐っている、音が響かない飛行場。些細な違和感の積み重ねが見る側の恐怖感を倍増させていくという作りが非常に巧妙。SF設定の中で群衆心理劇を描くというのもキングの十八番。

糸を紡ぐように丁寧に織り上げられたストーリーも、後半、ネタバレにならないように書きますが、CGで描かれた何らかが登場すると、アチャー、となってしまって、途端に緊張感の無いB級テイストに覆い尽くされます。やはりテレビドラマの予算と時間枠の限界でしょうか。肝心のストーリーの収束もちょっと強引で、折角面白み出始めたキャラクターも人間ドラマも、掘り下げの浅いままに終わってしまいます。原作の問題なのかドラマの問題なのか、近いうちに原作を読んでしっかり確認したいところ。

後半について批判的に書きましたが、後半のグダグダを含めたとしても、とてもよくできたSFドラマです。後半グダグダするのもキング作品の映像化のお約束と考えれば気持ちよく受け入れられる、かもしれません。

飛行機の操縦士役のデヴィッド・モース(David Morse)は、この後にスティーブン・キング繋がりの「グリーン・マイル」で看守役、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で悪い警官役、最近ではドラマ「HOUSE」のトリッター警部役でエミー賞にノーミネート、という徹底して制服を着る役が似合う大男です。

恒例キング通信。今は短編集「深夜勤務」を読み終えて「ダーク・ハーフ」を読んでます。

■ 関連サイト

Review : 2008年10月17日 20:41

ブックマーク

Yahoo!ブックマークGoogleBuzzurlニフティクリップlivedorr clipdel.icio.usはてなブックマークスティーブン・キングのランゴリアーズのはてなブックマーク数

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL :
http://www.spotlight-jp.com/matsutake/mt/mt-tb.cgi/214