2009年04月02日 11:01

Stevie Wonder「Superstition」クラビネットの謎をマルチトラックテープから解析

あの複雑怪奇なフレーズの秘密が今明かされる! YouTubeです。

ファンクミュージックの歴史に刻まれた7つの謎のうちの一つ。2つめ以降は各自で考えてください。

シンセをさわっていてクラビネット系の音を選ぶと、世界中の誰もがついつい演奏してしまうあの名曲「Superstition」(アルバム「Talking Book」に収録)。クラビネット(Clavinet)という楽器の魅力を最大限に伝える世紀の大名曲です。

▲ Stevie Wonder - Superstition

さわりをサラっと演奏するのは簡単ですが、いざ完全コピーしてみたいとよく聴くと、クラビネットのトラックは左右から別々の音が鳴っている上にディレイもかかっていて、しまいにはホーンの音など鳴りだしてよくわからなくなってしまいます。実際、スティービー自身もライブではこの曲をレコードの通りに演奏していないそうです。

そんな「Superstition」ですが、どこかしらで「Superstition」の24トラックのマルチトラックテープを入手したというFunkscribeというアフロの男性が、トラックをばらして曲の構造を丁寧に解説してくれるという動画がYouTubeで公開されています。

▲ Stevie Wonder's clavinet- Superstition: The Multitrack Masters!

なんと左右に2トラック鳴っているどころの騒ぎではなく、クラビネットは8つ!のトラックに分かれていて、2小節ごとに同じフレーズが少しずつアレンジをかえて重ねられていって、最終的には6パートも重ねられています。残り2つはディレイのかかったクラビネットが入っています。これでは耳コピーできるわけがありません。冒頭の多重されていない部分がシンプルなので騙されていましたが、この複雑なフレーズはスティービー・ワンダーの多重録音マジックの為せる技だったということです。ファンクミュージック史の7つの謎のうちの一つがこれで解けました。

ちなみに、ドラムに使われているのはたった3トラックで、キック、ドラムキット、オーバーヘッドマイクだそうです。

Funkscribeというこの動画の主はトークボックス系のアーティストでCDもリリースしていて、P-FunkのGary ShiderやMichael Hamptonなんかと共演しています。

上に「どこかしらで24トラックのマルチトラックテープを入手した」とさらっと書きましたが、この場合がどうなのかはわかりませんけど、最近BitTorrentとかのP2P界隈を中心に、メジャー系アーティストのマルチトラックのデータが漂流しているという話をよく聞きます。興味そそられますが、こういうマジックの舞台裏は知らないほうが幸福な場合が多いので、複雑な気持ちです。当然サンプリングネタとしても最強ですが、さすがにそれは様々な意味で反則のように思います。でも、こういう反則のハードルは時代とともに低くなっていくもので、マルチトラックでダブしたりするような音楽が評論家先生から立派なジャンル名をたまわり、芸術作品として堂々と流通する日も近いのではないかと思います。

News : 2009年04月02日 11:01

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