2013年04月19日 11:02

ジャム&ルイスが所属したTabu Recordsのアルバム30枚以上が再発 - 180gレコードとBOXセットも

Alexander O'NealThe earth has music for those who listen.

[音楽/レビュー]
タイトル : Alexander O'Neal
アーティスト : Alexander O'Neal
レーベル : Tabu/Edsel
リリース年 : 1985/2013

The S.O.S. BandやAlexander O’Nealが所属していたことで知られるアメリカのR&B・ファンク系のレーベル、Tabu Recordsのカタログが大々的に再発されています。再発を手がけているのは、信頼の再発レーベルEdsel。丸一年に渡るスケジュールが組まれた大規模なプロジェクトで、全35枚のアルバムがリマスター再発が予定されています。

■ Strictly Tabu: Edsel Readies Reissue Campaign for R&B Label (theseconddisc)

The long-gestating reissue campaign for Tabu Records by Demon Music Group looks to be taking shape – not only for the first wave of titles in the spring, but for a slew of content ambitiously planned through 2014.

第1弾 (4/8/2013):
Brainstorm - Stormin’
The S.O.S. Band - III(レコードでも再発)
Cherrelle - Fragile(レコードでも再発)
Alexander O’Neal - Alexander O’Neal(レコードでも再発)

第2弾 (5/6/2013):
The S.O.S. Band - S.O.S.(レコードでも再発)
Cherrelle - High Priority(レコードでも再発)
Alexander O’Neal - Hearsay(レコードでも再発)
Kathy Mathis - Katt Walk

第3弾 (6/3/2013):
The S.O.S. Band - Too
Cherrelle - Affair(レコードでも再発)
Alexander O’Neal - Hearsay – All Mixed Up(レコードでも再発)
Rhonda Clark - Between Friends

第4弾 (7/8/2013):
Brainstorm - Journey Into the Light
The S.O.S. Band - On the Rise(レコードでも再発)
Alexander O’Neal - All True Man
Cherrelle - The Woman I Am

第5弾 (8/5/2013):
The S.O.S. Band - Just the Way You Like It(レコードでも再発)
Kathy Mathis - A Woman’s Touch
Alexander O’Neal - Love Makes No Sense

第6弾 (9/9/2013):
General Caine - Girls
The S.O.S. Band - Sands of Time
Rhonda Clark - Rhonda Clark

第7弾 (10/7/2013):
Brainstorm - Funky Entertainment(レコードでも再発)
Alexander O’Neal - My Gift to You
The S.O.S. Band - Diamonds in the Raw
Lamont Johnson - This Must Be Heaven

第8弾 (11/4/2013):
Ms. Sharon Ridley - Full Moon(レコードでも再発)
General Caine - Dangerous
Demetrius Perry - Another World
The S.O.S. Band - One of Many Nights

第9弾 (1/14/2014):
Manfredo Fest - Manifestations
Woods Empire - Universal Love
Mary Wilson - Separate Ways

第10弾 (2/10/2014):
Mary Davis - Steppin’ Out
The Wailers Band - Majestic Warriors

BOXセット
10/21/2013: Alexander O’Neal - The Tabu Anthology
11/25/2013: Various Artists - The Tabu Records Box
3/10/2014: The S.O.S. Band - The Tabu Anthology

す、すごい…。

というわけで、まず4月の再発第一弾作品の中からAlexander O’Nealのデビューアルバムを購入しました。CD2枚組のデラックスエディションで、2枚目には12インチ曲や別バージョンなどを収録。しっかりリマスターされていて良い音です。ジャケットはハードカバー仕様で、しっかりしたライナーノーツが付いた素晴らしいクオリティーです。

ジャケット写真

Tabu Recordsといえば、自分にとってはやはりJimmy Jam & Terry Lewisというイメージです。1981年にPrinceが結成した傀儡バンドThe Timeのメンバーとしてキャリアをスタート、Princeを凌ぐ勢いで大人気になるものの、ライブをとちってバンドをクビに。その後Tabu Records専属のプロデューサーになり、シンセやドラムマシンを多用したエレクトリックなファンクで注目を集めます。そしてJanet Jacksonとの仕事で大成功し、ブラックミュージック界にトッププロデューサーとして君臨することになります。

Jam & LewisがThe Timeをクビになった経緯について、Prince研究本「プリンス大百科」(パー・ニールセン著)から引用します。2人はPrinceの1999ツアーでの前座のステージに穴を開けたことをきっかけにバンドをクビになります。

(1982年)12月の後半、ザ・タイムのメンバー、ジミー・ジャムとテリー・ルイスが、サン・アントニオでのショーに出損なった。彼らは、クライマックスやSOSバンドといった他のグループに曲を書いたり、プロデュースしたりしていた。1999ツアーのオフのある日、彼らはSOSバンドとのセッションのため、アトランタへ行っていた。ところが、飛行場で雪に遭い、サン・アントニオのコンサートに間に合わなかったのだ。そのショーの、ザ・タイムの出番では、モーリス・デイの召使い役のジェローム・ベントンが、ベースを下げて弾くふりだけをして、プリンスが舞台の陰でテリー・ルイスのベースラインを弾いたのだった。ジミー・ジャムの代わりはジル・ジョーンズがつとめた。(中略)ジミーとテリーは、1999ツアーの仕事をまっとうしたが、ツアーが終わると、ザ・タイムをクビになった。ジミーはそのことを、ショーに間に合わなかったせいだけではないと考えている。「プリンスは、グループを解散させたがっていたわけではなかったけど、あの雪がオレたち二人のクビを切る口実になったのさ。彼は、"ハハ、女を追っかけなくていいように、僕がいいのを用意してあげるよ"と言ってたんだぜ。そのあと、ビルボードかなんかで、オレたちがSOSバンドと一緒に写ってる写真を奴が見ちゃってから、すべてが変わっちゃったんだ。女に会いに行くのはOKだが、自分のキャリアを伸ばすのはOKじゃない、みたいな感じだった」

Alexander O’Nealも当然ながらThe Timeと因縁の深い人物で、そもそもThe Timeの前身バンド、Flyte Tymeでボーカルを務めていたのが彼で、Princeのプロデュースでバンドがデビューするにあたって知らぬ間にバンドから外されるという憂き目にあいます(代わりにMorris Dayが入ってThe Timeはデビュー)。数年後にThe TimeをクビになったJam & Lewisの二人がミネアポリスに帰郷した際、音楽活動が鳴かず飛ばずでナイトクラブで働いていたAlexander O’Nealと再会、Jam & Lewisは彼のTabu Recordsとの契約に尽力し、別のアーティストのために作っていたアルバムを彼に回したんだそうです。そして完成したのがこのデビューアルバム。その時Alexander O’Neal31才。石垣島の島田さんに喜んでもらえそうなエピソードです。

アルバムにはJam & LewisだけでなくMonte MoirやJelly Bean JohnsonといったPrince界隈の人脈も参加していて、これぞミネアポリスファンク!なドラムマシン!リバーブ!キラキラシンセ!なサウンドが鳴っています。そこにしっとり歌うも良し激しく歌うも良しなAlexさんのソウルな歌声が響きます。10年以上前に初めて聴いた時は、前半部分があまりにスウィートすぎて、ノリの良いダンス曲を求めていた当時の自分にはさっぱり理解できなかったのですが、今聴いてようやく前半部分の良さがわかったような気がします。単純に曲が素晴らしいですね。

このアルバムと次の「Hearsay」あたりが80年代Jam & Lewisの最高傑作ではないかと思いますが、他にも自分の聴いたことのないJam & Lewisプロデュース作品が今回のTabu Records再発シリーズで続々とリリースされるので、匹敵する作品をどんどん探していきたいと思ってます。

Review : 2013年04月19日 11:02

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