matsu & take

海外のプリンスのファンサイト「Prince.org」のフォーラムで「日本で発売されたSHM-CDの波形比較」と題されたスレッドが立って、今回のSHM-CDと、これまでのCDと、2006年にRhinoからリリースされたベスト＆レアトラック集「Ultimate Collection」の３者の波形を比較した画像が貼付けられていました。今回のSHM-CDは日本独自のもので、海外でのリリースはありません。わざわざ日本からCDを取り寄せる海外のマニアの熱い情熱には脱帽です。

■ Waveform comparison of Japanese SHM CDs（prince.org）

Sign O' The Times: seems like the original version that was released on CD in 87. It's a bit louder though - the screenshot shows that very nicely. I also compared those 2 files with the single edit that was released on "Ultimate Collection" 3 years ago. That file is much louder than either one. Now, does louder equal better? In This case I would say yes, however other than the volume I can't tell a difference between either of the three. I used to think that the 2006 single edit had more punch (bass). Now I can't tell.

上の画像は87年のアルバム「Sign O' The Times」からタイトル曲「Sign O' The Times」の波形。上からオリジナル、真ん中Ultimate Collection、一番下はSHM-CD。の順。音の大きさではUltimate Collectionがダントツ。SHM-CDは波形が潰れない程度に少しボリュームが上がっているだけにも見えますが、21秒付近で他の２者とは違う波形の部分が見えます。EQの作用でノイズ成分を減少さているのかも？

85年「Around The World In A Day」から「Raspberry Beret」の比較。上はオリジナル、下はSHM-CD。SHM-CDで少し音が大きくなっていることだけはわかります。

ここから伺えるのは、「Ultimate Collection」はWarnerから借りたオリジナルマスター（デジタル）の音源をリマスターして大きくしたり歪ませたりの「大胆」な音の調整を行う許諾を得ているが、日本のSHM-CDはオリジナルマスターの音源を大きく変える許諾を得ていないのではないか（もしくは敢えてやっていない）ということで、SHM-CD盤は、あくまで音に影響を与えない程度の軽いボリュームアップと、SHM-CDの持つ特性（よくわかりませんが）で音がわずかに変質しているかもしれない、ということだと思います。

フォーラムでは「SHM-CDなんてサギだ」というアンチSHM-CDの意見も有れば「リマスターはしてないけど音質が改善されていてクリアになってる（特にLovesexy）」「Ultimateはベースの音にパンチがある」という意見も有り。音の話はどうしても主観が強くなる部分なので、自分の感覚で聴いてみないとわからないところです。

プリンス自身が過去作品の再発に乗り気でない現状では、正式な形でのリマスターは当分実現しそうにありません。日本盤派の人にとっては、今買うなら、このSHM-CDがベストの選択なのかな、とは思います。

自分の持っている情報をつけくわえると、この再発がリリースされる直前に日テレ系の報道番組「ウェイクアップ！」のワンコーナーで「紙ジャケCDの魅力」というような特集を放送していて、その中で、「Around The World In A Day」のジャケットを制作している現場を取材していました。そこで映し出された映像は、市販のアナログLPのジャケットをスキャンしてパソコンに取り込んで、紙の痛んだ箇所や経年劣化で変色した部分をPhotoshopの修正ツールで補正するという作業でした…。